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ドライヤー15分でもリスクに――WHOが難聴対策に乗り出すわけ

3/19(火) 12:00配信

Medical Note

加齢とともに徐々に低下してくる聞こえ。加齢性難聴と呼ばれる変化は誰にでもやってきます。しかし、生活態度や生活習慣によっては若いうちから聞こえにくくなることも。逆にちょっとした注意によって、聞こえの能力を生涯にわたって保つことは可能です。【国際医療福祉大学耳鼻咽喉科教授・中川雅文/メディカルノートNEWS&JOURNAL】

◇周囲の人から聞こえに指摘

「先生、耳の検査してもらえませんか。周りの人から『耳が聞こえてないんじゃないか』って言われるんですよ」

そう言って来院した20代の男性は最近、遠くから呼びかけられても気づかなかったり、集団で会話しているときに話の内容が聞き取れなかったりということが何度もあり、友人らから上記のような指摘を受けたのだそうです。

話を聞くと、この男性は音楽を大音量で聞くのが大好き。移動中の自家用車ではドアや窓も閉めていても車外で聞こえるほどのボリュームで音の洪水に身をゆだね、仕事を終えて帰宅後はスマートフォンにヘッドホンをつなぎ、ほぼフルボリュームで数時間、音楽に浸るのが日常だそうです。

◇WHOが難聴対策をスタート

音は、会話や音楽を楽しむための大切なソースですが、つきあい方を間違えると「聞こえにくさ」や「聞こえなさ」をもたらしてしまう悪者に変わってしまいます。

現代文明は便利さと引き替えに、趣味や教育の現場や家庭のなかに難聴の原因となるような騒音を持ち込んでしまいました。生活音による難聴、そうした問題が専門家の間で話題に上りはじめたのは2010年ごろのことです。

世界保健機関(WHO)は2015年、いよいよ難聴対策を「喫緊に解決すべき重要な案件」として取り組みをスタートしました。“Make Listening Safe(耳を守って、かしこく聞こう!)”というキャンペーンを始めたのです。さらに2017年、世界的にも権威のある医学雑誌Lancetが、中年期の難聴の放置が認知症の最大のリスクであると報告。キャンペーンに追い風が吹きます。

WHOがキャンペーンをスタートした背景として(1)世界では11億人の若者が、難聴のリスクに直面している(2)世界の若者(12~35歳)の4300万人はすでに聴覚障害である(3)高所得あるいは中所得クラスの国でこの問題が深刻さを増している――ということがあります。

若者に難聴が急増している原因は、言うまでもなく、不適切な音デバイスの使用など趣味の騒音です。

難聴対策は、高齢になってからでは時すでに遅し。40歳代、いや10歳代から始め、ひとりひとりが一生を通じて取り組むべき課題となったのです。

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最終更新:3/19(火) 12:00
Medical Note

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