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1991年に福井で発見のハチは新種 黄褐色の脚「キアシエンモンヒゲクモバチ」

3/19(火) 18:01配信

福井新聞ONLINE

 28年前に福井県福井市の男性が同県大野市内で採集したハチが、クモバチ科の新種と分かり昨年、国際学術誌などで発表された。「(ハチの調査を)長年続けてきたかいがあった」と喜び、結果を待ちながら4年前に他界した研究仲間を思い「やっと分かったよと報告したい」と話している。

 男性は、福井生物研究会の黒川秀吉会長(80)。福井大学の学生時代から半世紀以上ハチの研究を続けており、1991年に大野市上打波で採集した中の1匹が新種と確認された。

 同定に当たったクモバチの専門家で首都大学東京動物系統分類学研究室の清水晃助教が昨年9月、動物分類学の英文学術誌「ズータクサ」で論文を発表した。和名は「キアシエンモンヒゲクモバチ」と付けられ、ラテン語の学名に黒川さんにちなみ「クロカワ」が入った。標本は国立科学博物館(東京)に保管される。

 クモバチ科のハチは日本各地に生息し、国内で約130種が確認されている。体長数ミリ~5センチほどで、一般的に体全体が黒または茶色だが、黒川さんが見つけた個体は、脚がきれいな黄褐色だった。清水助教によると、国後島で似た色のクモバチが確認されているが、ロシアの分類学者の協力で比較したところ、頭部や腹部の形状などが既知種と明らかに異なり、新種と判断した。

 福井県内でハチの新種が確認されたのは2015年12月以来で、研究仲間の尽力が今回の成果につながった。黒川さんから調査を依頼された同研究会会員で昆虫研究家の故羽田義任さん=大野市=は、数年かけ国内外のクモバチと比較した。触角や口、胴体の形や大きさなど約100カ所を見比べた結果、新種の可能性があると考え清水助教に同定を委ねた。

 羽田さんは15年に94歳で亡くなり、遺志を継いだ同会の田埜正さん(81)=福井市=に昨春、清水助教から“吉報”が入った。「名もないハチに出合うのが楽しみで、羽田さんもフィールド(野外)での調査が好きだった」と話す黒川さんと田埜さん。新種を含めた調査結果を文書にまとめ、羽田さん宅を訪れて報告する予定だ。

 2人は「森林伐採などで環境が悪化し、絶滅するハチがいるかもしれない。体が動く限り活動したい」。傘寿を迎えても意欲は衰えず、興味を持った若者が現れることを願った。

福井新聞社

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