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春闘回答、軒並み要求を下回る 中国景気の失速など外部環境の悪化で

3/19(火) 12:02配信

THE PAGE

安倍政権も数値目標を掲げず 経済界に配慮

 春季労使交渉(春闘)の回答がほぼ出そろいました。今年の春闘は中国景気失速など、外部環境が急速に悪化していることから、あまり期待出来ないという声が多い中でのスタートとなりましたが、組合側の要求を下回るケースが多いようです。日本は人手不足が深刻となっており、本来であれば賃金は上がるはずですが、現実はかなり異なっています。

 注目されていたトヨタ自動車は組合側が1万2000円の賃上げを求めていましたが、会社側の回答は1万700円にとどまりました。今年のトヨタの春闘は、ベア(ベースアップ)相当分がいくらなのかが非公表となっていましたから、交渉が始まる前の段階から厳しい結果になることは多くの人が予想していました。電機メーカー各社も要求を下回るところが多いようですから、今年の賃上げはあまり期待できないかもしれません。

 安倍政権はデフレ脱却を実現するため、毎年、経済界に対して賃上げを強く要請しており、経済界側もそれに応える形で賃上げを行ってきました。しかし経済界側は政府主導で賃金が決まることについて難色を示しており、今年の春闘では、政府が経済界に配慮し、これまで示していた数値目標を掲げることを取りやめました。賃上げに熱心だった安倍政権が数値目標を取り下げたということは、企業の経営状況がかなり厳しいということの裏返しとみてよいでしょう。

年金財政苦しく生涯雇用にシフト 賃金との関係性は?

 一方、福山通運のように人手不足が深刻な業界では、大幅な賃上げが実現したところもあります。しかしながら、日本の場合、サービス業の賃金は製造業と比較して圧倒的に安く、サービス業の賃上げが実現しても、製造業との差はなかなか縮まらないというのが現実です。さらに日本においては、中小企業と大企業の差や、正社員と非正規社員の格差が極めて大きいという問題もあります。春闘は基本的に大企業における交渉ですから、春闘で多少の実績が得られたとしても、人手不足に対する根本的な対策にはなりにくいというのが現状です。

 政府は企業に対して賃上げを望む一方、年金財政が苦しいことから、生涯雇用制度へのシフトも同時に進めています。現在、企業は65歳までの雇用を義務付けられていますが、近い将来、これが70歳になるとみられています。企業側は事実上、一生涯、社員を雇う必要がありますから、総人件費の増大を防ぐため、できるだけ社員の給与を下げようとするでしょう。高齢者の雇用を確保しようとすると、どうしても賃金全体が上がりにくくなってしまいます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:3/19(火) 12:02
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