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「本当に壊れちゃう」過労死したスーパー店員が出したSOSの意味 日本にはびこる「サービス残業」の闇

3/27(水) 7:02配信

withnews

 来月から労働時間をめぐるルールが大きく変わります。これまでは労使で取り決めを結べば無制限で残業する(させる)ことが可能でしたが、4月からは残業時間に上限が設けられます。では、このルールが実施されれば過労死ゼロが実現できるのでしょうか。残念ながら、私はそう考えていません。最大の理由は、日本の職場には「サービス残業」という悪しき習慣がはびこっているからです。(朝日新聞記者・牧内昇平)

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サービス残業の末に過労死した男性

 労働基準法の改正により、具体的には、最も忙しい時期でも「1カ月で100時間、2~6カ月の平均で80時間」を超えて残業させることはできなくなります。建設業やトラック運転手など一部の職種をのぞき、大企業では今年4月から、中小企業は来年4月から、このルールが適用されます。上限として設けられた「1カ月で100時間、2~6カ月の平均で80時間」の残業は、国が定める「過労死ライン」と同じです。

 しかし、サービス残業が無くならなければ、こうしたルールが全く無意味になるのは明らかです。私は今回、過労死遺族のルポルタージュを刊行しました(『過労死 その仕事、命より大切ですか』ポプラ社)。その中から、サービス残業の末に過労死してしまったスーパー勤務の男性の事例を抜粋して紹介します。

友人へのSOS後に発作

〈これ以上働いたら本当に壊れちゃうよ〉  

 埼玉県在住の富山久則さん(仮名・42歳)が親しい友人あてにこんなメールを送ったのは、2014年5月17日の夜だった。

 首都圏の中堅スーパー「いなげや」で売り場のチーフを務めていた久則さんは、それから8日後の25日午後、いつものように勤務先の「いなげや志木柏町店」で接客していると、急に言葉が出なくなる症状があらわれた。自ら119番通報し、救急車で近くの総合病院に搬送された。  

 このときは検査を受けても異常が見つからず、経過観察のために数日入院しただけだった。病院で7日間すごし、久則さんは退院した。その2日後には職場に戻ったが、復帰からまもない6月5日夜、こんどは本格的な脳梗塞の発作に襲われた。

 搬送先は5月の時と同じ病院だった。駆けつけた父の信一郎さん(仮名)を待っていたのは、「意識が戻ることはないでしょう」という、医師からの宣告だった。倒れてから17日目の2014年6月21日、久則さんは病室で静かに息を引き取った。

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最終更新:3/27(水) 11:03
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