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デイズで検証されなかった私の性被害 広河氏のような“権力者“をもう生まないで

3/20(水) 5:40配信

BuzzFeed Japan

働き方の認識のギャップ

それはパワハラについても言えるかもしれない、とDさんは話す。自分の思い通りに仕事が進まないと癇癪を起こす広河氏のことを、もう一人のアルバイト女性と陰で「クラスター」と呼んでいた。

広河氏は、休みをほとんど取らず、寝る間も惜しんで働いていた。食事をコンビニ弁当で済ませ、事務所のソファで仮眠をとる姿をたびたび見かけていたという。

「広河さんは、ひとりのジャーナリストとして正義のためにやるべきことを一生懸命しているだけだったのでは。理想の社会を実現するという大義のもとでは、社員の給料が安いとか終電で帰れないなんてことはどうでもいいことだったのでしょう」

会社員として働いたり「上司」がいたりした経歴もない。正義のために邁進するひとりのジャーナリストは、マネジメントやコンプライアンスを教わる機会がないまま編集長になっていた。

「大義のために身近な人たちが犠牲になっているにも関わらず、声があがりにくいというのは、求心力があるカリスマ的なトップがいる企業や、NPOのようなところでもありうる構造だと思います」

なぜ、記事を書いてしまったのか

Dさんは大手メディアに就職した後、広河氏の活動を紹介する記事を書いたことがある。なぜ、加害者を持ち上げるような仕事を積極的にしたのか。

「私の被害なんて大したことではないと思いたかったのもありますが、今思えば、問題認識も欠けていました。嫌なことをグッと飲み込んで何事もなかったように振る舞うことに、あまりにも慣れすぎていました。おそらくメディアで働く多くの女性が、権力のある男性たちにうまく合わせていかないと渡り歩けないということを本能的に察しているのではないかと思うのです」

Dさんが「目が覚めた」のは、2017年からの一連の #MeToo に関する報道がきっかけだった。ジャーナリストの伊藤詩織さんが、就職相談の際に遭った性暴力被害を実名で告発し、モデルのKaoRiさんも、16年にわたる荒木経惟さんとの関係についてブログで疑問を呈した。財務省の元事務次官がセクハラ発言を繰り返していた問題も、女性記者の告発によって明らかになった。

「私の感覚が鈍っていたのだと気づきました。多少のことがあっても受け流してきた私のようなタイプが、おそらくメディアで働く女性の大半であり、だからこそ働き続けてこられた。でもそうやって積み上げた業績って何なのだろう、と問い直す時期がきているはずです」

デイズジャパンは今後も最終報告に向けた調査を続け、サイト上で報告するとしており、検証委員会への情報提供を4月17日まで呼びかけている。

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最終更新:3/20(水) 5:40
BuzzFeed Japan

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