ここから本文です

イワシ刺身の概念覆す 価格2・5倍でも選ばれる「大トロいわし」

3/20(水) 18:10配信

みなと新聞

 漁業界に革命を起こしたい-。北海道に揚がるイワシの3分の1を買い付け、厳選した魚を生食用の「大トロいわし」として展開するのが、北海道広尾町にある池下産業(池下藤一郎社長)。本業は養殖魚の餌に使うフィッシュミール(魚を乾燥し粉状にしたもの)などを作る「餌屋」さん。昨今の水産資源の減少や魚の高騰と厳しい状況下、本業の強みを生かし、3年前に水産加工業に新規参入した。十勝港をベースに仕入れ、「良いものしか使わない、それが強み」と話す池下社長。数千尾に1尾という大型の脂のりの良いイワシを使った「RevoFish」として、「業界人を驚かす」、生食用の冷凍イワシを展開する。

 新規参入の背景には、長年苦しんだ餌屋としての原料不足があった。先々代が水産加工業を営んでいた時代には、同業他社の工場にも小さなフィッシュミールプラントがあり、1日100キロほどを製造していたという。時代の変遷とともに工場が減少。同社は小さなプラントを吸収していくうちに、フィッシュミール主体の会社に変化していった。

 全盛期には全国で400万トンのマイワシが獲れ、フィッシュミール業界も全国的に成長。しかし、昭和後半からイワシが減り始め、平成に入るころには水揚げが皆無となった。同業他社が工場を畳む中、「うちも餌工場一本で厳しい時代を迎え、さまざまな事業を展開した」。有機肥料や廃棄物処理、倉庫業などに手を広げてきた。

 2000年代に入るころから、カタクチイワシが獲れ始め、次第にマイワシが増えて状況が好転。ただ、道内ではサンマや秋サケなど主力魚種の水揚げが落ち込み、ミール向けが中心だったマイワシが、水産加工原料として脚光を浴びてきた。「餌屋の値段よりかなり高く買われてしまうので、どうしても価格で勝てない。水産加工事業を自社でやっていかないと、原料の確保ができない」と、加工事業への一歩を踏み出した。

 加工事業では餌工場を長年営んできたノウハウを最大限に生かした。「生食用で冷凍に特化し、他とは全く違うといわれる、飛び抜けた商品を作ろう」と16年に事業を開始した。大規模投資で新工場を建設。「母体の餌工場がしっかり採算が取れているので、体力のある時期にいろいろな展開をしていこう」と新事業に投資を惜しまなかった。

1/3ページ

最終更新:3/20(水) 18:10
みなと新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事