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ポピュリスト政権では不平等が解消 ただし富の再分配は無関係、民主主義にも脅威

3/20(水) 11:00配信

The Guardian

【記者:Paul Lewis, Sean ClarkeとCaelainn Barr】
 ポピュリストの指導者が世界中で経済格差の著しい解消に関係していることが分かった。政治学者や経済学者が行ったこの調査結果は、ポピュリズムは否定的な結果しかもたらさないというこれまでの考えに反証する画期的な内容となっているが、一方で、ポピュリスト政権は、選挙の質の低下や行政権の乱用、そして場合によって報道の自由の著しい低下を招いていることも分かった。

 調査を行ったのは、研究者らのネットワーク「チーム・ポピュリズム」。ガーディアンの協力の下で同ネットワークが構築したデータベースで世界40か国の指導者を対象に、演説内容に応じてポピュリズムを点数化し、ポピュリストが政権を握るとどうなるかを分析した。

 その結果、驚くべきことに、右派左派を問わず、さまざまな政治的立場のポピュリストには貧富の差を縮める傾向があることが判明した。研究者らは、ポピュリズムは平等性に「かなりの影響を及ぼしている」と指摘している。

 格差解消に影響を与えているとみられるのは主に中南米の左派系指導者、ボリビアのエボ・モラレス大統領やエクアドルのラファエル・コレア前大統領、そしてベネズエラの故ウゴ・チャベス前大統領らだ。なお、この統計分析は、指導者のイデオロギーの違いを考慮に入れ、中道派と右派についても行った。

 分析を主導した英オックスフォード大学のデービッド・ドイル准教授は、「予想していた結果に反していた」と主張。「ポピュリズムは悪だとしてきた長年の調査結果を見てきた自分に偏見があったのかもしれない」と話した。

 ドイル准教授によると、これまでの研究では、中南米の左派系ポピュリストは社会保障への支出を増やす一方で、結果的に「国家が機能不全に陥り、不平等を生んでいた」とされていた。

 ただし、今回の調査結果については慎重に見ていく必要があると研究チームは断っている。格差に関するデータは2016年までのもので、ベネズエラやニカラグア、そして米国における最近の変化は反映されていない。それを踏まえた上で、主に欧州や北米、それに中南米諸国に焦点を当てているこのデータベースでは、すべての国で格差が減少傾向にあった。

 これ以外の統計分析によると、貧富の差が縮まっていることと、従来の税や富の再分配の政策とは関連がないことが示されている。

 また、ノルウェーで二度首相を務めたイエンス・ストルテンベルグ氏や、2003年から2010年にかけてブラジルの大統領を務めたルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ氏ら、非ポピュリストの指導者が不平等の大幅な解消に乗り出した事例もあった。

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最終更新:3/20(水) 12:13
The Guardian

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