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「女児が性的暴行を受け子宮全摘」はなぜ拡散したのか 噂の専門家が語る“善意“の恐ろしさ

3/21(木) 13:12配信

BuzzFeed Japan

3月初旬にネット上で議論を巻き起こした「ある6歳児が公園のトイレで性的暴行を受け、子宮を全摘した」というツイート。同様の「噂」はBuzzFeed Newsが調べただけで、1990年代から全国で何度も広がっていた。チェーンメール、2ちゃんねる、そしてSNSとツールを変えて広がり続けてきた。なぜ、ここまでの拡散力があったのか。専門家に話を聞いた。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

「今回の話はこれまでもたびたび流れていた、典型的な噂です」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、中央大教授の松田美佐さん。噂の専門家だ。

松田さんによると、「幼児が誘拐され襲われる」という噂は、1990年代前半から2000年代前半にかけて、兵庫、大阪、和歌山、長崎、広島、宮崎、石川、鹿児島、福島、秋田、神奈川、愛知、福岡などで広がってきたという。

また、BuzzFeed Newsの調べでは、同様の噂に「子宮破裂」「子宮全摘」という言葉が付随したものが、同時期に少なくとも佐賀や福島、神奈川で広がっていたことが確認されている。

「大規模なショッピングセンターが一般化した2000年代ごろから、トイレに一人で行かせている間にさらわれ、暴行を受けたという話が流れるようになりました。報道されていない、警察が事件を隠している、というもっともらしいディテールがつくようになったのです」

こうした噂には「外国人」という具体的な犯人像が付与されて出回ったこともあった。また、店名などを名指しするケースもあった。

変質する誘拐の噂

これは、ある種の都市伝説なのだろうか。

「いえ、都市伝説は起承転結が整ったストーリーとして完成しているものを指します。今回のものはそこまでの内容ではない。あくまで噂と言えるのではないでしょうか」

そもそも、こうした類型の噂は古くからあるものだ、と松田さんは説明する。

「子どもや女性が誘拐されるというのは、典型的な『噂話』です。事件が隠されている、性犯罪であるが故に語られないなどの尾ひれがついていくことは、どの社会でもよくある話です」

「オルレアンの噂」と呼ばれるものがある。1969年にフランスで広がったもので、ブティックの試着室で女性がさらわれるというものだ。

こうした類型の噂は、日本でも海外旅行が浸透しつつあった1980年代後半に流行した。「海外で若い女性がさらわれ、手足を切られ見世物にされる」という内容だったという。

噂の舞台はその後、国内に場を移した。「カップルでいたときに女性だけが襲われた」と変質し、さらに1990年代前半には「女性が外国人にレイプされた」と変わり拡散。

それに代わるような形で、90年代後半から女児誘拐の話が流れるようになったのだという。

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最終更新:3/21(木) 19:54
BuzzFeed Japan

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