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【水素社会の構築】福島を真の先進地に(3月22日)

3/22(金) 9:08配信

福島民報

 政府は水素エネルギー活用に向けた工程表を三年ぶりに改訂し、三月十二日に公表した。水素を使う燃料電池車(FCV)の価格引き下げや、水素ステーションの無人運営の解禁などを新しく盛り込んだ。工程の実現は、一部の先進的な地域だけでは難しい。取り組みを全国に広げ、進み具合をきめ細かく検証する必要がある。

 工程表によると、七百万円以上するFCVの価格を、二〇二五年ごろに五百万円台にする。ハイブリッド車との価格差を抑えて普及を図る。現状三千台の登録台数は、同年までに二十万台、二〇三〇年に八十万台の目標を掲げた。

 ステーションの設置費用は二〇二五年に現状の半額ほどの二億円に抑え、現在の約三倍の三百二十カ所を目指す。規制緩和で無人運営を解禁し、人件費を抑制する。

 国はこれまで、水素ステーション整備の補助対象を大都市圏と「福島新エネ社会構想」に基づく取り組みなどに限ってきた。その影響があってか、商用ステーションは、東北地方では本県と宮城県にしか開所されていない。他の四県の住民はFCVを所有しても、身近で燃料充填[じゅうてん]ができない。同様のステーション空白県が全国には二十もある。

 新たな工程表では、ステーションの整備対象地域を「全都道府県に拡大していくことを検討する」とした。水素社会をつくり上げるためには、大都市圏中心だった事業の全国展開が不可欠だ。拡大への検討を早急に進め、空白県をなくすよう求める。

 水素活用の地方波及に向けて、「福島新エネ社会構想」で、本県の果たす役割は大きい。浪江町で、世界最大規模の水素製造拠点が来夏に稼働する。政府は、東京五輪・パラリンピックで、本県産水素を活用することを決めた。新たな工程表にも、五輪で水素技術を世界にアピールすると明記した。燃料電池バスや選手村での発電などに用いる。

 本県の技術力発信に有効ではあるが、単なる水素供給基地にとどめてはいけない。水素を「作る・ためる・使う」のモデル地区として、水素の地産地消こそが大切になる。いわき市で動き始めた、FCV導入の民間企業の取り組みを手本に、家庭用燃料電池の普及などを進めてほしい。

 本県は、水素の優位性をもっと広めることにも努めるべきだ。発電に活用する際に、二酸化炭素を排出しない。可燃性ながら空気中に拡散しやすく、適正な管理下での安全性は高い。県民の理解が深まってこそ、真の水素先進地といえる。(鈴木 俊哉)

最終更新:3/22(金) 9:08
福島民報

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