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個性派“電気シェーバー顔”デリカD:5で苦労人三菱にようやく春到来?

3/22(金) 15:00配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「一部ファンには電気シェーバーと言われてます(苦笑)」と関係者が吐露するほど、毒あるユニークマスクで登場したマイナーチェンジ版の三菱デリカD:5。思わずグリルに自分のヒゲ面を突っ込たくなるほどの網目グリルがたまらないが、この新作ミニバンは別段こけおどしの一発狙いじゃない。ある意味、三菱自動車の乾坤一擲たる入魂作でもある。

 なぜなら今の三菱は度重なる不祥事からの再建途中。ハデなニューモデルは極端に少なく、去年登場のエクリプスクロスにしろオールニュー作として4年ぶり。お金も時間も余裕なくイチから新作を作りにくい状況とみた。

 勢い既存車種を上手に気合を入れてブラッシュアップせざるをえない部分もあり、D:5はその典型。なんせ基本プラットフォームは2007年のデビュー以来変わらず。一方、フロント回りのみ衝突安全や歩行者保護性能のアップデートもあってフレームから一新。そこで顔は旧型とは似ても似つかないくらい進化させようとして“シェーバー顔”に。中でもライトは前代未聞のタテ型LEDでしかも内側がハイビーム、外側がロービームと変則的だ。

 かたや内装はビックリするほど刷新され、上質なウッドパネル調素材やオプションの10.1インチ大画面ナビが装着可能に。

 パワートレインもD:5最大のアドバンテージである国産ミニバン唯一の2.2リッターディーゼルを見事アップデート。厳しくなる排ガス規制に対応し、新たに尿素SCRシステムを加えただけでなく、敢えて低圧縮比を採用。結果、ピークパワーは2ps下がったがピークトルクは20Nmも上がり、6速から8速に増えた新作ATもあって出足&追い越し加速共に滑らか。

 乗り心地も補強されたボディーもあって高級サルーンの如く上質だし、パワステも電動デュアルピニオンEPSとなり、シャープなハンドリングと素直な直進性を獲得。同時に防振材はもちろん、フロアマットを変えてまで静粛性をアップし、とてもマイナーチェンジとは思えないほどの全面クオリティーアップ。

 どれもこれも三菱の苦しい台所事情とはウラハラの頑張りであり、大手を振ってやっと新作を出せるようになった同社の遅すぎる春を感じる出来。多少ヤリ過ぎの感もあるが、乗って気に入ったらならぜひおひとつ!

(小沢コージ・自動車ジャーナリスト)

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