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町唯一の書店が閉店を撤回 「町に本屋を」「文化の象徴」地元住民の声、熱意実る 佐賀・有田

3/22(金) 12:22配信

佐賀新聞

 売り上げ不振などのため今月10日に閉店を予定していた積文館書店有田店(西松浦郡有田町)が、営業継続となった。2月初旬に閉店の告知があって以降、常連客を中心に「町に本屋を」と望む声が相次ぎ、町唯一の書店は明かりをともし続ける。

 書籍や文具などを扱う同店は、約260平方メートルの売り場面積に約6万冊の本が並ぶ。1996年に前身の慶応堂から積文館書店(福岡県)が経営を引き継ぎ、国道35号線沿いで30年以上、「町の本屋」として営んできた。近隣の長崎県川棚町や波佐見町には本屋が1軒しかなく、同店には県外からも来客がある。

 近年は年に約5%ずつ売り上げが落ち、コンビニエンスストアの出店で人の流れが変わったことなどにより落ち込みに拍車がかかり、閉店が決まった。

2月初め、閉店知らせる張り紙

 2月初め、店頭に閉店を知らせる張り紙を貼ると、客から「今後どこで本を買えばいいのか」「厳しいとは思うが何とかならないか」と存続を望む声が相次いだ。馬場剛店長(46)は「本屋は文化の発信拠点。それがなくなる寂しさや危機感を訴える声に、心苦しい思いだった」と振り返る。

「やはり本屋はなくしちゃいけない」

 建物を所有する不動産会社「大栄」(有田町)の江口豊久社長(55)にも住民の声が届いた。江口社長は「一時は諦めていた」と明かしつつ「やはり本屋はなくしちゃいけない」と店舗継続へ動き出した。店舗の運営会社と協働して実現可能な方策を探り、2月末に存続が決まった。

 閉店に反対する声が多かったものの売り上げは伸びず、経営改善の見通しはたっていない。同町の松尾佳昭町長は「有田工高や佐賀大有田キャンパスも擁する有田町は文化の町。アカデミックな町を目指す中で、町の象徴として書店は大事なもの」とした上で「『地元の商店で買い物を』という呼び掛けなど、できる手伝いはしたい」と話す。

 娘(7)と来店した常連客の女性(42)=同町=も「本屋がなくなると、地域の子どもの本離れが進むのではと心配していた。うれしい知らせ」と笑顔を見せた。

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最終更新:3/22(金) 13:22
佐賀新聞

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