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人を引きつけた姿(3月23日)

3/23(土) 8:57配信

福島民報

 短く刈り込んだ頭に白髪が目立ち始める。四十五歳のイチロー選手は「中年の憧れ」となっていた。二十八年に及ぶプロ野球人生は、魅力的な発言と真摯[しんし]な姿勢で人々を引きつける。

 阪神大震災が起きた一九九五(平成七)年、オリックスの主力としてパ・リーグ優勝に尽くす。球団の本拠地は当時、神戸市にあった。「傷ついた人に真っ先に伝えたい」と被災者を励ます。東日本大震災から一年後の春、マリナーズは東京ドームで開幕戦を迎えた。相双や会津地方の中学生がスタンドで見守る中、華麗な守備で勇気づけた。

 「三千という数字より、僕が何かをすることで他人が喜んでくれることが何より大事」。三年前の夏、大リーグ三千安打を達成した際に語った。引退表明の記者会見は生き方を問われた。「自分の限界をちょっと超えることを繰り返す。その積み重ね」。

 プロ三年目の一九九四年から七年連続でリーグ首位打者に輝く。はつらつとしていた好青年は、年輪を刻んでも全力で走り通した。自ら掲げた「五十歳現役」の目標はかなわない。だが、これからも光を放ち続ける。「きっと、みんなを楽しませてくれる」。そう思わせる大選手だった。

最終更新:3/23(土) 8:57
福島民報

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