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【傷病者の意思】受け止め方を整えよう(3月23日)

3/23(土) 8:58配信

福島民報

 救急現場で、心肺機能が停止状態にある傷病者の家族などから「本人が心肺蘇生を拒否する意思を示していた」と知らされた時に、救急隊員や医師はどう対応するのか-。全国の消防本部で、心肺蘇生の実施や中断などの対応方針を定める動きが出ている。

 県によると、県内でも心肺蘇生を拒否する意思表示の事例が見られる。国の検討や各地の取り組みを手掛かりに、県内の各地域の実情に合う方針や救急隊の活動手順の在り方を話し合う必要がある。また、心肺蘇生への対応と併せて、本人が望む人生の最終段階の迎え方をかなえられる仕組みづくりが求められよう。

 高齢者が増える中、救急、医療、介護を支える人々の苦労や努力に思いをはせ、緊急時に欠かせない情報や連絡方法を身近な人と日頃から準備する心掛けも大切だ。

 国は二〇一八(平成三十)年に全国の消防本部の実態を調べた。県によると、二〇一七年中に、心肺機能停止状態である傷病者の家族などから「傷病者本人が心肺蘇生を拒否する意思表示をしていた」と伝えられた件数は、県内十二の消防本部の合計で二十四件あった。

 県内の五本部はこのような事例への対応方針を定めていると回答した。救急隊は心肺機能停止状態の傷病者の心肺蘇生を速やかに行うことを基本に活動する。県は「医師からの指示などの一定の条件の下に心肺蘇生を実施しない、または中断することができるとの定めを持つ本部はあるが、多くの本部は心肺蘇生を実施しながら医療機関に搬送すると回答した」と説明する。

 県内の救急関係の機関や団体が参加する組織には、県救急医療対策協議会、県メディカルコントロール(MC)協議会、県傷病者搬送受入協議会などがある。県内四地域ごとのMC協議会も設けられている。県によると、一部の地域MC協議会が救急隊の対応の手順づくりを検討したことはあるが、これまでに県も地域ごとのMC協議会も具体的な手順を定めていない。

 県内の消防本部からは「国による統一の方針を示してほしい」との要望が出ている。日本臨床救急医学会は二〇一七年に「人生の最終段階にある傷病者の意思に沿った救急現場での心肺蘇生等のあり方」を提言した。総務省消防庁の部会も対応策を検討しているが、今のところ、標準的な方針や手順などを都道府県に示す段階には至っていない。

 県内でも事例を分析し、救急、医療、福祉、法律、宗教などの幅広い視点で課題を検証するべきだ。(安田 信二)

最終更新:3/23(土) 8:58
福島民報

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