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多元的社会の破壊狙う極右差別主義とイスラム過激主義

3/24(日) 10:01配信

The Telegraph

【執筆: ED HUSAIN】
 私は昨年、ニュージーランドのクライストチャーチを訪れ、数多くのイスラム教徒に出会った──彼らは店主やウエーター、学生といった、いわゆる一般人だった。

 滞在中、哲学者カール・ポパー氏が住んでいた家にも行った。ポパー氏はユダヤ系のオーストリア人で、ヒトラーから逃れてニュージーランドに移住し、そこで自由主義の名作「開かれた社会とその敵」を書いた。ポパーはニュージーランドを絶賛した。何よりも、英国と共にナチズムへの断固とした態度を崩さなかったニュージーランドの法律、言語、権利に敬意を表していた。

 私たちは、開かれた社会に対する新たな脅威に直面している。純然たる悪の所業とも言える15日の無差別攻撃は、極右の人種差別主義者によるものだった。モスクで礼拝中の罪なき人々が数多く犠牲となった。

 事件の容疑者は20代後半の白人男性で、この攻撃を計画するのに2年をかけたと伝えられている。しかし犯行声明とされる「マニフェスト」には、6年にわたる行動が記され、そこでイスラム教徒殺害の決意に至ったことが説明されている。記されていたのは、読書、旅行、思想、そして他の人種差別主義者らとの会話などだ。このマニフェストはまるで、ヒトラーの著作「我が闘争」の新版のようだ。ナチズムは今も社会の中に存在している。用心しなければならない。

 とはいえ、社会が直面する脅威──極右ファシズムとイスラム過激主義とが対となった危険な組み合わせ──はあまりにも大きい。それは、国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)、英ネオナチ組織コンバット18、米白人至上主義団体クー・クラックス・クランといった特定の組織とは違う。こうした組織は、もっと大きな計画に向けた戦術に過ぎない。組織の背後には、未来に向けた物語、世界観、ビジョンがあり、そのイデオロギーを追い求める命がけの傾倒がある。これらが世界的に活動し、互いを過激思想へと走らせる。

 第一に、双方とも「自分の仲間」が受けた犯行への復讐を企てる。アルカイダの元指導者ウサマ・ビンラディン容疑者は、パレスチナの敵を討つと主張した。一方、ニュージーランド銃乱射事件の容疑者は「欧州全土でのテロ攻撃で何千という欧州人の命が奪われたことへの復讐をする」と、攻撃の理由を明確に述べた。

 第二に、人種および宗教的根拠に基づいて報復行為に臨み、そうした行為を通じて、より大きな目的のために至上主義や分離主義を強化する。

 第三に、自分たちの犯罪行為を想像上の過去と結び付けることで歴史を悪用する。イスラム過激派は、宗教的に純粋な「カリフ制国家」を求め、白人至上主義者は他の人種に汚されていない土地を求める。

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最終更新:3/25(月) 8:41
The Telegraph

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