ここから本文です

車内販売終了でどうなる? 北海道の名駅弁「かにめし」、原型は「丸ごとゆでガニ」!?

3/25(月) 10:42配信

乗りものニュース

全国の「かにめし」元祖、長万部駅

 JRでは、コンビニエンスストアの台頭や、要員不足といった問題を背景に、特急列車などにおける車内販売が次々と縮小しています。JR北海道は2019年2月をもって、札幌~函館間の特急「スーパー北斗」で終了し、すべての在来線定期列車における車内販売から撤退(3月には新幹線でも終了)。JR東日本、JR四国、JR九州も、2019年3月16日(土)のダイヤ改正で車内販売を縮小しました。

【画像】カニの身ぎっしり! 元祖「かにめし」

「スーパー北斗」の車内では、ある“名駅弁”の販売が乗客の予約に応じて行われていました。長万部(おしゃまんべ)駅(北海道長万部町)の「かにめし」です。いまや全国で様々な「かにめし」の駅弁がありますが、長万部駅前に店を構える「かにめし本舗かなや」が1950(昭和25)年に発売した「かにめし」が、その元祖とされます。

 長万部駅の「かにめし」は、東京の京王百貨店新宿店で毎年行われている「有名駅弁とうまいもの大会」で、1969(昭和44)年および1970(昭和45)年に販売数1位を獲得。2019年1月の開催で54回目となった同大会では、函館本線 森駅(北海道森町)の「いかめし」が長年販売数トップに立ち続けていますが、この「いかめし」以外が1位を獲得した3回のうち2回が、長万部駅の「かにめし」なのです。

 ごはんの上に、カニのほぐし身がびっしりと敷き詰められた「かにめし」。ほぐし身は、じっくり大釜で炒って水分を飛ばしているため、噛めば噛むほど旨みが出るのが特徴だそう。付け合わせの細切り筍や、しいたけの煮付け、佃煮も彩りを添えます。かつては長万部駅のホームで販売員による立ち売りも行われており、列車が到着すると同時に乗客がホームに飛び出し、山積みの「かにめし」はあっという間になくなっていたそうです。

「かにめし」以前は「丸ごとゆでガニ」

 SL列車の時代、函館本線と室蘭本線が交わる長万部駅では多くの列車が、運行に必要な水の補給などで10数分ほど停車していました。当時、札幌~函館間の所要時間は6時間以上。長万部駅はその中ほどに位置しているうえ、周辺には大きな駅がないこともあり、駅弁が売れる要素が整っていたといえるでしょう。

「かなや」の初代社長、金谷勝次郎さんは、長万部駅で戦前から弁当などの構内販売を行っていました。しかし、戦後は米が不足し、幕の内などの弁当を作ることが困難に。そうしたなか、留守を預かる社長の妻が、駅のすぐ近くの噴火湾で多量に水揚げされる毛ガニをゆでて新聞紙で包み、弁当として販売を始めました。

 いまでこそ毛ガニは高級品の扱いですが、当時はむしろ、網を切る漁の邪魔者として捨てられる場合も多かったとのこと。この毛ガニ販売は大きく評判を呼び、全国を放浪中に通りかかった作家の檀 一雄さんも、その味を称賛(エッセイ集『美味放浪記』)。さらに名が知れることになりました。

 しかし、毛ガニは水揚げ時期が夏に限られてしまいます。また、列車内にはカニの匂いが充満し、至る所に殻が散乱するように。この事態を改善すべく開発されたのが、ほぐし身を敷き詰めた現在の「かにめし」だったのです。

 発売にあたっては、各地の食材を食べている鉄道関係者に何度も試作品をふるまい、意見を聞いては改良を繰り返したそうです。毛ガニの保存用に、当時としては異例の業務用大型冷凍庫を導入し、1年中食べられるようになった「かにめし」は、長万部駅の名物として定着することになります。

1/2ページ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事