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【論調比較・竹田JOC会長辞任】 朝日・産経の社説が即時辞任を要求

3/26(火) 11:02配信

ニュースソクラ

居座りの「定年延長」を毎日・産経が批判

 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)が6月の任期満了をもって退任する意向を表明した。

 2020年東京五輪の招致をめぐる買収疑惑でフランス司法当局の捜査を受け、国外での活動に支障が出ていた。役員の定年規程を理由にしているが、事実上、疑惑で混乱を招いた責任を取ったと言えるだろう。

 疑惑は、東京開催が決まった2013年9月前後に、招致委がシンガポールにあるコンサルタント会社に送金した計2億3000万円の一部が国際オリンピック委員会(IOC)関係者やその親族に流れたというものだ。

 英紙の報道で2016年5月に表面化した際、JOCは弁護士らでつくる調査チームを設け、「違法性はない」とする報告書をまとめていたが、当のコンサル会社などへの聞き取りは行われず、金の流れも解明されなかったことから、疑惑はくすぶり続けた。

 2019年になって、フランスの検察当局が、贈賄疑惑で招致委の理事長を務めていた竹田氏を捜査していることが報じられ、問題が再燃した。

 竹田会長は、1月に会見を開いて潔白を主張したが、わずか7分間、用意した文書を一方的に読み上げるだけで質疑を受け付けずに終わり、逆に疑念を深める結果になっていた。

 特に、海外に出国すると身柄を拘束される恐れもあると指摘され、IOC委員でありながら国際会議にも出席できない状況に陥り、また、東京大会1年前のPR行事への出席をIOCのバッハ会長らに断られるなど、「外堀」が埋められていった。

 そんな中、逆にJOC内では役員の定年延長(「選任時70歳未満」の規定に例外を設ける)が検討されていることに、世論の批判が一段と高まっていた。

 こうした状況で3月19日の辞任表明を、全国紙は社説で一斉に論じた(読売は21日、他の4紙は20日)。

 明示的に書くかは別にして、<退任は不可避との見方が急速に広がっていた>(日経、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42663540Z10C19A3SHF000/)だけに、<退任は当然である>(毎日、https://mainichi.jp/articles/20190320/ddm/005/070/106000c)という認識は全紙共通。

 むしろ、即時辞任でなく6月の任期満了での退任であることに、朝日(https://www.asahi.com/articles/DA3S13940960.html)が<危機意識の欠如には驚くばかりだ。……なお3カ月の間、会長の地位にとどまるとの結論に、どれだけの人が納得するか。……(東京五輪)開幕まで500日を切ったこの大切な時期に、機能しない人物をトップに据え続けて、JOCはいったいどうするつもりだろう>と疑問視。

 産経(https://www.sankei.com/column/news/190320/clm1903200002-n1.html)は<IOC委員としての役割はもはや期待できず、辞任は当然である。それでもJOC会長にとどまり続ける姿勢には危機感が感じられず、理解に苦しむ。……即刻、身を引くのが正しい責任の取り方ではないか>と一段と厳しく批判。<フランス当局が任期満了を待たずに訴追する恐れもある。そうなれば、日本スポーツ界の一層の混乱は避けられない>という指摘も当然だ。

 竹田会長の評価を落とした1月の「7分会見」にも全紙が言及。<1月の記者会見で質疑に応じ、説明を尽くすべきだった>(毎日)、<記者会見で質疑を拒んだため、不信感を増幅させたことは否めない>(読売)、<1月に潔白を訴える短い記者会見を開いただけで、国民に一切の説明をしていない。それだけで公の組織の長としての資質を欠く>(朝日)といった具合だ。

 今回、竹田氏自身の責任ももちろんだが、JOCという組織の抱える問題も白日のもとにさらした。JOCが定年延長を画策していたこと、それとも絡んで各競技団体でも不祥事が続いているなかでの統括団体としての在り方の2点で各紙、論じる。

 定年延長ではJOC内での検討が明らかになった3月上旬、いち早く社説で批判したのが毎日「竹田JOC会長の去就 定年延長は筋が通らない」(8日、https://mainichi.jp/articles/20190308/ddm/005/070/095000c)と産経「JOC竹田会長 体制刷新を議論すべきだ」(3日、https://www.sankei.com/column/news/190303/clm1903030001-n1.html)。

 今回の社説でも毎日は、19日の理事会で竹田氏続投論が出たことを紹介しながら、<退任表明までの動きの中で目に付いたのは、JOCのガバナンス(組織統治)の欠如である。……長期にわたり特定の人物に権限が集中することが組織の腐敗につながる。昨年、頻発したスポーツ界の不祥事から学ぶ姿勢が見られない。……危機感のなさには驚くばかりだ>と、組織のガバナンスとして問題視。

 産経は、<JOCも世間の批判の声に対して感度が鈍すぎる。……現状を顧みることなく「竹田体制で東京五輪を迎えるべきだ」と強調した平岡英介専務理事の発言は無責任に過ぎた。竹田会長の定年延長論に便乗して「70歳未満」とした役員定年規定について事実上の撤廃を画策するなど、スポーツ界を束ねる自覚も節操も欠けている>と指弾し、<竹田氏を長く支えた事務局上層部の刷新を含めて、解体的な出直しが求められる>と、次期体制に注文する。

 組織のガバナンスという点では、昨年来の競技団体での問題続発もあって、スポーツ庁が、適切な組織運営を確保するため、役員の就任時の年齢や再任回数に制限を設けるコード(指針)の策定を進めている。

 この点も踏まえ、<(指針の)素案では、4年に1度、JOCなどが競技団体のガバナンスなどを審査することになっている。お目付け役が例外規定を作るようでは示しがつくまい>(日経)との批判は当然だ。

 朝日は<スポーツ界にガバナンスを導入・確立することが急務の課題になっている。中核に位置するJOCの改革もまた、避けて通れないテーマである。後任の会長選びをどう進めるかを含め、組織の抜本改革に急ぎ取りかからなければ、信用の回復はおぼつかないと覚悟すべきだ>と、JOCの出直しを強く要求する。

 この点、読売も<JOCには、新会長の下で、統括団体としての責務を果たすことが求められる>と指摘するが、読売は全体に、過去の竹田氏の功績にも丁寧に言及するなど、厳しさのトーンは他紙に比べて抑え気味だ。

 JOCが1980年モスクワ五輪ボイコットをきっかけに体協から独立したことを踏まえ、政治の関係を書き込んだのが毎日。

 役員の定年延長をめぐって鈴木大地スポーツ庁長官が「再任回数や定年制などの規制はあるべきだ」、柴山昌彦文部科学相も「組織の新陳代謝を図ることは重要だ」などと発言していることに、<民間団体であるJOCの人事に国の意向を反映させれば政治介入になりかねない。そのような発言を許したのもJOCが規律を欠くためだ。……政治の思惑に振り回された苦い記憶をJOCがなくしては、日本スポーツ界の将来はあまりに暗い>と危機感を示しているのが目を引いた。

長谷川 量一(ジャーナリスト)

最終更新:3/26(火) 11:02
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