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スローインコーチがリヴァプールを変えた?「生涯をかけた仕事」の実態とは…

3/26(火) 17:42配信

GOAL

2018年6月の初め、家族旅行を計画中だったトーマス・グレネマルクのもとに、生涯を変えることになる1本の電話がかかって来た。彼のスマートフォンのディスプレイにイギリスの電話番号が表示されたのは、家族と共にチョコレートショップへ向かう途上のことだった。デンマーク生まれで今年43歳になるグレネマルクはそれまで陸上競技やボブスレーの選手として世界のあちこちを回った経験があり、国外からの電話はさして珍しいものではなかったが、「心底驚く」ことになる。

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妻と娘がチョコレートに夢中になっている暇にボイスメールに耳を傾けると、その声はユルゲン・クロップのものだった。グレネマルクは慌ててリヴァプールの監督に電話を返そうとしたがうまくつながらず、まずは帰宅することにした。

帰宅の途中でまたクロップの番号が表示されたため、グレネマルクはすぐに幹線道路を外れ、草地へ車を乗り入れて電話に出た。この時の電話で、カリスマ監督はグレネマルクをメルウッドにあるレッズのトレーニングセンターへ招待した。クロップは自身のトレーナーチームにグレネマルクを加えることに興味を抱いていたのだ。ほかでもない、スローインコーチとして。

「みんなが下手なスローインに慣れてしまっている」

数日後にはもうグレネマルクは機上の人となってイギリスへ渡り、レッズのトレーニングセンターでクロップに面会した。話し合いの後、最終的にリヴァプールがこれからグレネマルクと協力関係を結ぶことが確定した。まずグレネマルクは2018年末までの契約にサインすることに。「私にしてみれば、生涯の夢が叶ったんだ」と、興奮した様子で振り返る。

一見突飛な成り行きのようにも思えるが、グレネマルクにとっては何も不思議なことではなかった。当時、彼はすでにプロのフットボールチームに正しいスローインのやり方を教授することで生計を立てていたのだから。現役のスポーツ選手としてのキャリアを終えた後、彼はスローインの問題を根本から見直し、半年以上にわたって探求を重ね、特別なトレーニングを開発し、生涯をかけた仕事としてスローインに取り組んできたのだ。

特に故国デンマークでは、グレネマルクは以前からスローインコーチとして名を成している。“マネーボール・クラブ”(データ分析を武器に弱小球団が強豪に成長する様を描いた映画『マネーボール』に因んだ呼び名)の異名を持つFCミッティランはデンマークのトップリーグの現チャンピオンであり、2009年以来何人もの専門コーチと綿密な協力体制を築いているが、グレネマルクもまたその専門コーチチームの一員であった。そして、それらスペシャリスト集団の存在が、ミッティランが2015年と2018年にリーグ優勝を果たすことを可能にした一因であったのだ。

「スローインはあまりにも過小評価されている」と、グレネマルクは断言する。

「下手なスローインを投げる選手がいても、解説者たちは誰もそれを問題にしないんだから。下手なスローインに皆が慣れっこになっているんだよ。スローインは大した意味を持たないと、誰もがほとんど信じきっているんだよ」

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最終更新:3/26(火) 17:42
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