ここから本文です

貴乃花という重しが取れた貴景勝 新元号初の大関誕生へ

3/27(水) 7:03配信

VICTORY

稀勢の里が去った土俵に新たな看板力士が加わった。27日に新大関となる貴景勝だ。思い切りの良い突き押し相撲。とにかく前に前に、そして逃げない。大相撲の看板を背負うにふさわしい力士に成長した。大横綱・貴乃花を慕い、貴乃花に育てられた貴景勝だったが、晴れの舞台に師匠はいない。師匠が相撲界を離れてから初優勝、そして一気に大関にまで駆け上がった。貴乃花は貴景勝にとって成長を止めていた重しだったのか?はたまた貴乃花が耕した畑で実った果実なのか?今回は貴景勝を変えた何かを探ってみよう。

22歳の新大関誕生

3月24日。大阪城公園の桜がほんの少しだけほころび始めたこの日に貴景勝は春場所の千秋楽を迎えていた。相手は栃ノ心。角番で7勝7敗と崖っぷちに立つ大関だ。ここまで9勝の貴景勝は勝てば大関昇進を決める相撲。そうなれば自動的に栃ノ心は関脇に陥落する。
これこそ正真正銘の入替戦といっていい大一番だった。結果は、立ち合い一気の突き押しで大関を圧倒した貴景勝の勝ち。在位わずか5場所で大関の座を明け渡した敗者とは対照的に、貴景勝の唇は興奮でわずかに震えていたのが印象的だった。

この場所、貴景勝は阿武咲と並んで幕内最年少の22歳。大相撲界を背負って立つ若きヒーローはいとも簡単に偉業をやってのけた。このとき私の頭にあったのは、先場所(2019年1月)千秋楽の一番。勝てば大関と言われた貴景勝は高校の先輩でもある大関・豪栄道に完膚なきまでにやられた。負けても大関があるんじゃないかといわれていたが、見事な負けっぷりで昇進の話題は一気に吹っ飛んでしまった。なんと表現したらいいのだろう?「痛恨」という言葉でも、「やってしまった」という言葉でも言い表しきれない、貴景勝にとって最悪の瞬間だったに違いない。

それからわずか2か月後に再び巡ってきた、勝てば大関をつかめる千秋楽の大関戦。あと一歩のところでチャンスを逃してきたかつての名関脇たちの顔が何人も頭に浮かんでいた。しかし、貴景勝は見事に打ち克った。それは目の前の栃ノ心にではなく、自分自身という一番難しい相手に。夜のテレビ番組で貴景勝は「先場所の千秋楽に負けてから、この時を待ち望んでいた」と語ったが、すべてが腑に落ちたと素直に感じた。

1/3ページ

最終更新:3/27(水) 7:03
VICTORY

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事