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就活生の7割が敬遠…なぜ「転勤嫌い」が急増しているのか

3/28(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 来春大学を卒業する学生の就職活動が解禁されて1カ月が経つ。今年も学生有利の売り手市場だが、就活生の動きに異変が見られる。

 これまで男子学生は転居を伴う転勤があり、仕事内容や昇進に限度がない総合職を、女子学生は転勤はないが、昇進は限られる一般職を選択するのが一般的だった。ところが最近は、転勤のある総合職を敬遠し、転勤のない一般職を選ぶ男子学生が増えてきたという。

 就職、進学情報の提供や調査等を行う「ディスコ」(東京都文京区=新留正朗社長)が2019年卒業の就活学生に「あなたが理想としている働き方」についてアンケートをしている(18年3月調査)。それによると、「ひとつの場所で働きたい」「どちらかというとひとつの場所で働きたい」と答えた大学生が67.6%(5671人が回答)と、約7割が転勤を敬遠しているのだ。

 また、昨年9月時点の調査では、内定率89.2%のうち37%の学生が内定を辞退し、その中の約39%は条件が合わないとし、その理由を「勤務地の転勤がある」と42.5%が答えているのである。

「18年卒の学生は69.4%、17年卒でも67・9%の学生が転勤を嫌うという調査結果が出ています。一人暮らしの不安、家庭を持てば家族と離れたくないという理由です。ただ、転勤は出世につながります。転勤を嫌うというのは、将来の出世も考えないということでしょう」(同社・吉田治広報担当)

 一方、転勤のない企業を志望する学生が増えてきたことで、企業の採用状況も変化してきている。たとえばNTTデータは、転居を伴う転勤は本人の同意なしには行われない。またサントリーでは、社員とのニーズのミスマッチを防ぐため、「入社1年目から年1回、本人と所属長の面談で(勤務希望を含めた)中長期のキャリアビジョンを話し合い、その情報を基に定期異動につなげています」(同社広報部)という。

 従来から全員が総合職の募集をしているソニーでは対応は早い。

「うちは本人が自分でキャリアを築くという考えが基本です。転勤はありますが、部署の異動や転勤は人事部から強制的に辞令が行くことはありません。人事部から打診はありますが、基本的に本人の希望で決まります」(同社広報室)

 転勤は出世に不可欠といわれる金融機関でも、就活生の動きに変化が見られるようだ。

「一般職志望で応募してくる学生が増えています。また、転居を伴う転勤のない特定総合職とか、地域限定総合職を選択する学生も増えてきています」(前出の吉田氏)

 東海大学の元教授で就職部長を務めた小野豊和氏が言う。

「その会社の仕事が好きだとか、仕事に成果を求める学生が少なくなりました。残業はしない上に、楽をしても給与がもらえるという働き方改革が学生をダメにしているんです。転勤を敬遠するのは、社会の中で自分を試そうとせず、スタートからリスクを避ける学生が増えたということです」

 働き方改革、売り手市場が学生の働く意欲を変えているのは間違いない。 

(ジャーナリスト・木野活明)

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