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闇から闇に葬られる生きもの 動物実験に葛藤はあるか 森映子著「犬が殺される」を読む

3/29(金) 12:22配信

47NEWS

 学生から疑問の声が上がり、4年前に犬の死骸に切り替えた。だが、学生の親から生きた犬の実習を再開するよう求められ、翌年からは生きた犬を1日使い、そのまま安楽死させる形式になったという。

 こうした例が次々に出てくる。牛に麻酔をかけずに頸動脈を切って放血死させる。カエルの首を切ってから体に電流を流し、手足が動くか見る…。著者は事実を事実として記述するが、犬の悶絶する声が聞こえ、牛の血のにおいが漂う。



 人間は動物に対して何をしてもいいわけではない。感情的、倫理的に許されないというだけでなく「3Rの原則」という国際原則もある。Replacement (代替・できる限り動物実験の代わりになる方法を利用すること)、Reduction(削減・できる限り実験動物の数を少なくすること)、Refinement(方法の洗練・できる限り実験動物の苦痛を軽減すること)がそれである。
 この原則は日本の法律にはなかったが、2005年の動物愛護法改正で盛り込まれた。ただし「代替」と「削減」を定めた41条1項は「科学上の利用の目的を達することができる範囲において」と明記、「苦痛の軽減」を求める同2項も「利用に必要な限度において」と条件付き。研究優先で3Rは二の次だ。

 では、実験施設や実験動物の飼育施設はどこに何カ所あって、実験に使われた生きものの数はどれほどか。著者によれば、日本では誰も全貌を把握していない。自治体レベルで把握に努めているのが兵庫県と静岡県のわずか2県。国レベルでは許可制や登録制どころか、届け出制すらなく、自主管理に任されている(いま動物愛護法改正の検討が進んでいるが、現状を改める方向には向かっていない)。実験動物は文字通り、闇から闇に葬られている。

 ▽トクホの毒性試験や催奇形性試験

 著者はこの闇に果敢に挑む。そして至る所で「取材拒否」という壁にはね返される。

 目次を見たとき、なぜ全8章のうち第1章「獣医大学」が全体の3分の1近くを占めるのか不思議だったが、読んでいくうちに分かった。獣医大は公的機関として一定程度、取材に応じる。だが、それ以外の企業や研究機関はほとんど情報を開示しない。

 獣医大でも、著者の飼育施設見学の申し入れを受け入れたのは16大学中2大学だけ。断る理由は「実験の目的を損なう恐れがある」「実験環境の要因を増やすことになるので、再現性の観点から難しい」「衛生環境の保全および実験動物へのストレスなどを考慮」など。どれも合理的な理由とは思えない。

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最終更新:3/30(土) 13:41
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