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闇から闇に葬られる生きもの 動物実験に葛藤はあるか 森映子著「犬が殺される」を読む

3/29(金) 12:22配信

47NEWS

 「トクホ」と略称される特定保健用食品の開発にも、多くの実験動物が使われていることは知らなかった。安全性試験のデータとして、犬やラットへの動物実験が義務付けられているのだ。その中に「反復投与毒性試験」がある。餌や飲料水に混ぜたり、強制投与したりして、毎日続ける。食欲や体重、血液、尿検査などをする。投与期間が終わると解剖し、内臓を調べる。

 胎児への影響を見る催奇形性試験もある。妊娠中のラットとウサギに毎日強制投与し、出産予定日の前日に殺し、子宮を摘出し、母体と胎児を調べる。

 著者の取材は、モリカケ問題で有名になった加計学園の岡山理科大獣医学部にも及ぶ。新設計画によれば「小動物外科学実習」で「犬16匹」を使う。「解剖学実習」では「犬、ブタ、牛、ニワトリを対象とする」。牛はもともとの計画にはなかったのに、大学設置・学校法人審議会が「牛の解剖がない」と指摘して入った。もし、この獣医学部自体が不要だとして建てられなかったら、これらの命も失われずに済んだのだ。

 ▽非人間的なレベル

 私は動物園の取材を続けている。取材を始めたころ、動物園の人たちの多くが葛藤を抱えていることを知り驚いた。生きものはもともと野生にいる。その生きものを、人間が見て楽しむために、捕らえてきて展示する。それはどのようにして正当化されるのか。

 それに比べ、実験動物を利用することは、どの分野でも公益性が高いかもしれない。しかし動物園と違い、多くは「人為的な死」が結末だ。失われる命の前で、悩みや苦しみ、痛みが少しもないとすれば、あまりにも非人間的ではないか。動物実験に関わる日本の法制度や行政、企業、研究機関、大学の現状は、この非人間的なレベルにとどまっているのではないか。(47ニュース編集部、共同通信編集委員・佐々木央)

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最終更新:3/30(土) 13:41
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