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駅ホームのベンチ「向き変更」広がる 関西発祥の安全対策、関東でも拡大

3/29(金) 6:11配信

乗りものニュース

酔客の行動分析に基づく安全対策

 駅ホームのベンチは一般的に、「線路に対して並行」に並んでいますが、この向きを90度変える形で、「線路に対し垂直」に設置する動きがあります。

【写真】ベンチの「向き」変更、ビフォーアフター

 京成電鉄は2019年2月から3月にかけ、八千代台駅(千葉県八千代市)を皮切りに8駅のホームでベンチを更新するとともに、向きを線路に対し垂直に変更しました。小田急電鉄でも2017年から順次、向きを変更しているほか、JR総武線の新小岩駅(東京都葛飾区)などでも同様の配置のベンチが導入されています。

 変更の理由について京成電鉄は、「線路への転落事故防止に効果があると考えられていることから、ベンチの更新をきっかけに、向きを変更していくこととしました」といいます。8駅以外も一部を除き、転落事故件数の多い駅から、順次更新していく予定とのこと。

 このように駅のベンチを「線路に対し垂直」に変更する動きは、関西が先んじています。たとえばJR西日本では2018年3月末時点で、333駅において向きを変更済みとのこと。同社に詳しく話を聞きました。

――なぜベンチの向きを変更したのでしょうか?

 もともと、当社の安全研究所で、お酒に酔ったお客様の行動特性を分析したことがきっかけです。千鳥足でフラフラしながらホームを歩かれて転落するのではなく、ベンチで座っていたところ急に立ち上がり、そこから一直線に線路へ向かい転落されるお客様が多いことがわかりました。それを防止すべく、ベンチの向きそのものを変えてしまう発想に至ったのです。

 その研究は、当社社員と大阪メトロ(当時は大阪市交通局)さんから出向されていた方と共同で行いましたので、当社と大阪メトロさんの2者で考案したことになります。

ベンチの向きを「180度」変えた駅も

――どれほどの効果があるのでしょうか?

 線路の転落要因は様々ですので、ベンチの向きを変えたことだけで測れるものではありませんが、一定の効果があると考えています。

――デメリットはないのでしょうか?

 ベンチの向きを線路に対し垂直にすると、それだけスペースをとられるため、ホームの広さから導入が難しい駅もあります。JR宝塚線(福知山線)の伊丹駅(兵庫県伊丹市)では、ベンチの向きを90度ではなく180度変え、線路に背を向けるような形で配置しているなど、現地の特性に応じて対策を講じています。

※ ※ ※

 JR西日本によると、大阪都市圏にある利用者の多い駅から順次ベンチの向きを変更し、やがて同社の中国エリアや北陸エリアにも拡大したとのこと。

 抜本的な線路への転落対策としては、ホームドアが思い浮かぶかもしれません。首都圏の駅を中心に整備が進んではいるものの、「ホームドアの整備は時間も費用もかかります」(京成電鉄)というのが実情。JR西日本、京成電鉄とも、ベンチの向きを変更するのはホームドア整備までの暫定的な対策というわけではなく、できるところから事故をなくしていく取り組みだといいます。

※内容を一部修正しました(3月29日10時50分)。

乗りものニュース編集部

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