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陸上“リレー侍”の新星・小池祐貴「代表のユニホームを着てメダルを取りに行きたい」全身トレで五輪仕様ボディー

3/30(土) 12:05配信

スポーツ報知

 16年リオ五輪で日本が銀メダルに輝いた陸上男子400メートルリレーは、20年東京五輪のメダル有望種目の一つ。“リレー侍”の新戦力に名乗りを上げるのが、小池祐貴(23)=住友電工=だ。昨年のジャカルタ・アジア大会200メートルでは、06年ドーハ大会の末続慎吾以来日本勢12年ぶりの金メダル。今年5月の世界リレー(横浜)、9~10月のドーハ世界陸上へ闘志を燃やす逸材の素顔に迫った。(取材・構成 細野 友司)

 昨季、日本選手権2位を始め急成長を遂げた小池。男子200メートルでは末続以来となる4年に1度のアジア大会王座も手にした。称号は自信か、それとも―。

 「肩書のことは考えても、やはり世界とはまだレベルが違いますね。昨年9月には(各大陸代表による)コンチネンタルカップに出ましたが、(強豪は)中盤以降の伸びが異様に強い。カーブを抜ける100メートルくらいまで加速している感覚です。トップスピードというより、体のポテンシャルの部分で全然勝負できるところには立っていないと感じた。まだ差がある。アジアを勝ったからすぐに世界で通用するかといったら、そうではないと思っています」

 現状に満足したら成長は止まる。幸い、今季は大舞台が目白押し。5月に序盤戦の目玉として、世界リレーが横浜で開催される。08年北京五輪で日本が銀メダルに輝いた男子400メートルリレーは、16年リオ五輪銀、17年ロンドン世陸銅、18年アジア大会金。毎年の国際大会で表彰台に立ってきた。自身は18年ダイヤモンドリーグ(DL)ロンドン大会で第1走者を務めたが、世界大会は未経験だ。

 「代表でリレーを走りたい気持ちは正直、個人で出たい気持ちより大きい。バトンを持って、代表のユニホームを着てメダルを取りに行きたい。北京五輪のリレーは、何度見てもいいなと思いますよね」

 200メートルの適性が最も生きるのは、曲走路を走る第3走者。現在3走は桐生祥秀(23)=日本生命=だが、小池を起用できれば桐生をアンカーにするなど戦術の幅も広がる。

 「得意なのは3走なので一番貢献できるかなと思う。桐生に得意な4走(アンカー)を走ってもらいたいから、自分が3走にいければ。ただ、メンバーの兼ね合いもあるし、正直どこでも走れます。誰かが調子悪かったらそこを走るとか、自分で言うのも何だけど、使い勝手よく采配してもらえるといい」

 急成長のきっかけは、元走り幅跳び日本記録保持者の臼井淳一コーチ(61)。学生時代から特定のコーチをつけないスタイルを貫いてきたが、昨年から師事。指導法も人間性も、マッチした。

 「心理的な距離が近いですね。本当にプライベート的な話もしますし、新幹線の座席は隣同士で移動して、しゃべりながら行く感じで、よく意思疎通が取れる人かな。この練習やりたくない、とかもちゃんと聞いてくれます。意見を否定されることもない。『とりあえず試してみようか』と言ってやらせてくれるし、やってダメだった時は『まぁ、そうだよね』って」

 この冬は、昨季体感した世界との差を埋める努力に没頭した。

 「体を鍛えるのがメイン。元々、五輪へ18~19年は体を作って、20年にスピードを上げようと臼井コーチとも話しています。今年の冬は練習量が多くて、心肺機能、筋トレも含め、全体的に満遍なく鍛えているなという感じ。とにかく全体的に体の強さを上げていく。一日は長い一部練習という感じで、遅い時は午前中から15時くらいまでやっていく。5時間くらいですかね。走る距離が短い時も本数やセット数が多かったり、レスト(休憩)が短かったり。量はやるな、って感じです」

 練習の中で手応えは着実に感じている。服を脱ぐと、体つきの違いが自分でも目につくほどだ。

 「シャワーを浴びて鏡を見ると、おなか回りが太くなった。横から見ても丸太みたい。めっちゃおなか出てるなと。前に出ちゃうんですよね。(筋肉が)もう入らないんでしょうね。外に出てきてしまっているので。腹筋とか補強の動きは全然やらないけど鍛えられている。動きの中で使えているから、これだけ太くなったんじゃないかなと」

 体力に加え走りを支えるのが細やかな観察眼。走りの向上に余念がない。

 「家では陸上の映像を見てます。DLを見て、(一般的に不利な)内側レーンで上位に入った選手はどういう走りをしたのか。その選手が外を走ったらどうなっているか、そういう違いを見ている。後半型の選手は内側レーンに入っても走れているとか、背の高い選手は普通は内側だと走れていないのに、なぜかこの選手は走れているとか。タイムを見て100メートルが遅いのに200メートルが速い選手はここが優れているとか。走り高跳びの助走も、あんなに軽く走っている感じなのにトップスピードが出るのはなぜだろうと見ていますね」

 今季は、個人種目でも昨年を上回る活躍で20年東京五輪へ足がかりとしたい。

 「DLなど、レベルの高い試合を転戦して、自分の中の基準を上げていきたいと思っている。場数、というのに完全に焦点を当てていこうかなと思っています。そして、ドーハ世界陸上で今の自分がどこにいるかはっきりする。その時点を見て、東京のゴール設定を考えたい。もし仮に目標にしている決勝進出ができるとなれば、次は決勝で結果を出すのが大事になる」

 ◆今季の男子400メートルリレー

 序盤の山場が5月11~12日の世界リレー。日本開催は初で、代表メンバーは4月末までの個人成績で選考される。7月にはDLロンドン大会に2年連続で参戦する方針。初優勝を目指す9~10月のドーハ世陸は、上位8チームに入れば20年東京五輪出場権も手に入る重要な舞台となる。

 ◆小池 祐貴(こいけ ゆうき)

 ▼生まれとサイズ 1995年5月13日、北海道・小樽市生まれ。23歳。173センチ、75キロ。

 ▼競技歴 立命館慶祥高から始める。高校時代は100メートルが主戦場。3年時から200メートルも本格的に取り組み始めた。

 ▼食事のこだわり どの栄養素をどんな食材で取るかを大切にする。一方、週1回は「チート・デー(ごまかす日)」を設け何でも好きなものを食べる。ずっと良い食事ばかりを食べていると体が慣れてしまい、海外遠征などで万全の食事が取れない時にダメになってしまうから。

 ▼息抜き 予定に縛られるのが嫌で、オフの日はスケジュールを真っ白にする。精神的に自由でいることが息抜き。昼まで寝ることもある。跳躍種目など、陸上の他種目の映像を見るのもリラックスになる。

 ▼憧れの選手 同じ北海道出身で北京五輪400メートルリレー銀メダルメンバーの高平慎士氏。現役では16年リオ五輪銀メダルの飯塚翔太(ミズノ)。ファンサービスの対応の良さや、遠征で同部屋になった時に感じる人柄の良さにひかれる。

 ▼家族構成 両親と兄。

最終更新:3/31(日) 10:14
スポーツ報知

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