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新元号案、秘密の金庫に 浮かび上がる「二つのリスト」

3/30(土) 15:01配信

朝日新聞デジタル

改元直後からリスト準備

 「ポスト平成」の新たな元号に向けた準備は、1989年1月8日に改元されて間もなく始まっていた。作業に携わった元政府関係者の証言をたどると、二つのリストの存在が浮かびあがってきた。(朝日新聞記者・二階堂友紀、大久保貴裕)

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新元号案、秘密の金庫に 6要件で考案依頼・有力案は三つ程度

 新たな元号案が3案程度にまで絞り込まれたリストと、一定の条件をクリアした案が残されたリスト――。「まず有力案があり、外縁部にはその他の有資格案がある」と、元政府関係者の一人は明かす。

 政府が79年に定めた元号選定の要領には、元号の6要件がある。「よい意味を持つ」「漢字2字」「書きやすい」「読みやすい」「これまでに元号として用いられたものでない」「俗用されていない」。これをもとに、政府は高名な漢学者らに元号の考案を依頼。寄せられた案をふるいにかけながら、内閣が代わっても代々継承してきた。

 ただし、リストには入れ替えもあるという。「固定した案が『冷凍』されているわけではない」「必要に応じてプラスされ、シャッフルされていく」

 それらは、首相官邸に近い庁舎ビルにある内閣官房副長官補室で保管されてきた。一見して分からない場所に元号専用の金庫があり、扉をあける暗証番号は改元実務を担う内政担当の副長官補が交代する際に紙に書いて引き継がれる、という。

 「元号案は三つに絞り込まれていた」。別の元政府関係者はそう打ち明ける。考案者は3人で、漢学者だけでなく「国学」の専門家も含まれていた。

 初めて見た瞬間、こんな印象を抱いたという。「しっくりこないが、『平成』も最初はそうだったな」

在位20年以降、絞り込み加速か

 天皇陛下は昨年12月、84歳の誕生日を前にこう語った。「残された日々、象徴としての務めを果たしながら、次の時代への継承に向けた準備を、関係する人々とともに行っていきたい」

 改元まで、あと1年余。新たな元号の準備作業はこの約30年間、政府内で極秘裏に進められてきた。

 政府の元号選定の要領は、首相が「高い識見を有する者」「若干名」に対し、「おおよそ2ないし5の候補名の提出を求める」と定める。元号の考案を依頼する識者について、平成改元の実務に当たった的場(まとば)順三・元内閣内政審議室長は、朝日新聞の取材に次のような基準を挙げた。

 (1)漢文学者または東洋史学者または国文学者(2)日本学士院会員(3)文化勲章受章者または文化功労者(4)その他、その世界で著名な功績を持っている――。的場氏によると、出身大学は東大だけでなく、京大など西日本地域の大学を含めることにも留意したという。

 「若干名」について、元政府関係者は「常に3~5人に依頼しておく」と語る。ある時期には「4人の識者に考案をお願いしていた」との証言もある。

 政府から依頼を受けた識者は、意味や出典とともにそれぞれ数案を提出する。ただ、新たな案を思いついたとして、元号案が出し直されることもあるという。元政府高官は「年に1回、『お考えに変わりはないでしょうか』と確認していた」と振り返る。

 依頼後、識者が亡くなる例もあったようだ。政府内には「物故者の案は使わない」との不文律があり、亡くなった識者の案は候補から除かれる。

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最終更新:3/30(土) 15:01
朝日新聞デジタル

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