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リオ銀「リレー侍」4選手が五輪金メダルへの展望語る…5・11開幕「世界リレー」

4/2(火) 12:04配信

スポーツ報知

 2016年リオ五輪で過去最高の銀メダルに輝いた陸上男子400メートルリレー代表。今季は20年東京五輪の前哨戦として世界リレー(5月11~12日・横浜)、世界陸上(9~10月、カタール・ドーハ)に挑む。

 リオ銀メンバー4選手(山県亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥)がこのほどスポーツ報知の単独インタビューに応じ、各区間ごとの重要性や走りのコツ、五輪金メダルへの展望を明かした。(取材・構成 細野 友司)

 ■第1区間・山県亮太「37秒60超えないと」

 最初の区間ですから、いけるぞ、やってやるぞという気持ちを後ろの走者に感じてもらうのが役割的に大きいと思っています。チームに勢いをつけ、ライバルに先行できていることは勝つイメージに結びつく。もちろん、実際に速さもあれば強さにもつながります。幸先良し、出だし好調、みたいな走りを後を走る3人に感じてほしいです。

 曲走路の走りでは、遠心力への対処が大切になります。レーンごとにカーブのきつさも違う。走りのイメージや(スタート時に蹴る)ブロックの置き方を細かく調整します。例えば最も内側の第1レーン。カーブが比較的終わりの方に来るので、それまでに加速しきってしまわないこと。カーブがきつい瞬間に頑張り過ぎても失速につながります。外側レーンは直線に近いので、100メートル走と同じような感じですね。終盤は第2走者が見えた瞬間、そこへ最短距離で走れるように体を使う。飯塚さんの位置を中心軸にして、力を集中させていくイメージです。

 東京五輪の金メダルへ、僕はちょっと遠ざかったと思います。他の選手もリスク覚悟でトライをしている中だと思うけど、純粋に日本の個の走力が上がっていない。個人のレベルを上げるのが金メダルへ不可欠だと思うからです。リレーとしても、リオの記録(37秒60)を超えられていない。超える力は十分あると思っているけど、昨年を見ればまだ試行錯誤中なのかなと。アジア大会で金メダルを獲得できたからといって、決して満足はいきません。

 20年を本番とするなら、今年は徐々に結果を出さないといけない時期。自信を持って東京五輪に臨むため、19年の結果は非常に重要になります。そんなに悠長なことは言ってられないぞ、というのは自分に対しても思っています。

 ■第2区間・飯塚翔太「長い…体感110メートル」

 第2走者を一言で表すと「耐える」。カーブから走り始め、直線を走りきって、またカーブを走って第3走者へ。区間的にも、気持ち的にも長い。体感では110メートルちょっとありますかね。他国の強い選手が集まっている中で耐えて、キープして次に渡す。あまり目立たないけど、後半へ流れを作る重要な区間です。

 走りのコツは、目線を第3走者に固定すること。第1走者のスタート位置は横並びでないため、2走の段階では外側レーンの選手が見た目では前にいることが多いです。内側レーンを走る時は、どうしてもそちら(自分の右側)を見てしまって走りの無駄につながるので、絶対に前だけを見る。逆に、自分が外側レーンの時は走りやすいです。

 今季は、バトンを受け取る区間でのダッシュ力をもっと上げたいと考えています。長い区間なので、最後渡すまでのことを考えて、どうしても少しスタートを楽に出てしまうことがある。フィジカルや気持ちをしっかり出し、最後まで走りきる自信と走力をつけたいですね。バトンに関して言えば、もう改善するところは少ないかなと思っています。

 リオ五輪とロンドン世陸を経験し“1位との壁”はすごくあると感じました。リオのジャマイカはあれだけ速くて、ロンドンの英国も力が一段、二段上。ただ、日本が近づいている感覚もある。世界大会の個人種目で決勝に残るレベルになれば、金メダルは見えます。

 世界リレーは、東京五輪を占うものになる。どんな雰囲気になるのか、声援の感じとか。日本の短距離って強いな、とアピールする機会でもあります。20年に向かっての熱の入り方も、試合の結果で変わると思っています。いい勝負をして、来年へ期待を持ってもらって終われるようなレースにしたいですね。

 ■第3区間・桐生祥秀「レベル上げないと」

 100メートルも注目されているけど、日本のリレーの人気も上がっていると思う。その中で世界リレーが日本開催だから、盛り上げたいですね。新横浜は新幹線の駅もあって、関西からも来やすい。逆に、それで人が来なかったらがっかりする。最低、メダルは取らないといけない。誰が見ても負け、みたいな差をつけられるのは屈辱だし、米国や英国としっかり勝負したい。

 個人的にはアンカーが好きで、第3走者は「つなぎの区間」というイメージを持っていました。ただ、実際走ってみると違う。遅くても目立つし、逆にどんどん抜いていけばアンカーより目立つ時もある。最近は3走はエース区間の位置づけで、五輪や世陸に行けば結構な有名選手も走っています。アンカーとはまた違った魅力も感じますね。

 走りの技術的なことはほとんど考えずに、ラインを踏まないことだけ意識して走っています。内レーンでも外レーンでも一緒。どれだけ最短距離でいけるかだけを考えて走っています。カーブではあるけど、直線を走る時と走り方も一緒。アンカーのケンブリッジさんがどれだけ加速に乗れるか、ということは意識しています。

 五輪の金メダルは狙いたいけど、個人的に走力はまだまだ足りない。例えば米国や英国が本気のメンツで出てきて、バトンも完璧に回ってきたとすると…。想像したくはないけど、そういう状況も考えておかないといけない。となると、金ってまだ断言はできないですね。もっとレベルを上げないといけない。

 個人の目標タイム? どうなんですかね。自己ベストが100メートルなら最低9秒台、200メートルなら19秒台じゃないと勝負できないのは変わらないと思う。そう考えると僕もまだ足りないし、他の選手もまだ足りないかなと思うんです。

 ■アンカー・ケンブリッジ飛鳥「メンバー譲らない」

 リレーの時の桐生は、すごく勢いがある。僕のイメージでは練習より速いんですよね。なので、彼の勢いをそのままもらう感じです。第4走者の一番の仕事は、順位を落とさずにゴールすること。リオの時は他の3人がいい位置で持ってきてくれて、バトンをもらうまでは「やべぇ、俺ミスったらどうしよう…」とか考えていました。もらった瞬間、一気にプレッシャーから解放されて、あとは楽しむだけ。個人で勝ちを意識した時より、リレーの方が力まず駆け抜けられます。

 チームとしては、やっぱり層が厚い。リオの4人にしても、16年の時と比べて100メートルのベストタイムは全員上がっている。バトンでまだいける余地があるのかもしれないけど、個人の力をより上げることで目標に近づけると感じているし、メンバーでもそういう話をします。リオメンバー以外にも選手は出てきていますが、譲る気はない。リオメンバーと新しいメンバーと一緒に短距離界を盛り上げる中で、自分も走りたいという気持ちが強くあります。

 国際大会で毎年メダルを取れているのは、日本が力をつけている証拠。ただ、金メダルに近づいているかといえば、そこは何とも言えないです。英国が昨年良いタイム(37秒61)で走って、米国やジャマイカもいる。甘くはないし、簡単に金メダルとは言えないけど、日本も少しずつ積み上げてきたものがある。全く手が届かないところではないのかな、と思います。

 短距離が注目される中で日本開催の世界リレーは、東京五輪の予習という感じで楽しみですね。37秒台は出したいと思っています。タイムや順位が出ると、気持ちにも余裕が出る。世界陸上を含め、現在の日本記録でもあるリオのタイムにどれだけ近づき、そして超えられるかが大事です。

 ◆世界リレー展望

 男子400メートルリレーの金メダルロードは、決して楽な道ではない。日本陸連の土江寛裕・五輪強化コーチ(44)は、17年ロンドン世界陸上を制した英国の存在を鍵に挙げる。昨夏のダイヤモンドリーグ(DL)・ロンドン大会でも対戦し0秒48、距離にして約4メートルも先着された。「DLの時の練習を見ても、バトン練習を一番しっかりやっていた。個の走力が日本より半ランク上で、遜色ないバトンをしてくる」と警戒した。

 米国はC・コールマン、N・ライルズら100メートル9秒8台の選手を4人並べる破壊力がある。「きちんとバトンが渡れば、走力では今のところ勝てない」。ジャマイカは世界記録保持者のU・ボルト氏が引退したものの実力者がそろう。近年、個人種目で急成長を遂げている南アフリカ、リオ五輪100メートル銅メダリストのA・デグラッセを擁するカナダも、表彰台を虎視たんたんと狙っている。

 日本の強みは選手層だ。リオ銀メンバーはいずれも健在。ロンドン世陸銅メンバーの多田修平(22)、昨夏のジャカルタ・アジア大会200メートルを制した小池祐貴(23)=ともに住友電工=もいる。3月に室内60メートル日本記録タイの6秒54を出したサニブラウン・ハキーム(20)=米フロリダ大=に関しては、土江コーチも「次元の違う選手であると思うから、絶対欠かすことのできない戦力」と強調。リオ銀メンバーであっても安泰ではない激しい競争が底上げにつながる。

 5月の世界リレーは東京五輪へ重要な前哨戦。「日本の皆さんの前でいい走りをするのは、東京へのリハーサルにもなる」。世界リレー、DLロンドン大会、そしてドーハ世界陸上。世界との三番勝負で、悲願の五輪制覇へ加速する。

最終更新:4/14(日) 10:28
スポーツ報知

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