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米韓関係は「最悪」、米側の不満がメディア通じ噴出

4/2(火) 12:12配信

ニュースソクラ

米国務長官、韓国の対北特使を「嘘つき」と非難と伝わる

 韓国では最悪の日韓関係に続き、「最悪の米韓関係」という言葉が浮上している。ハノイでの米朝首脳会談後、文在寅政権に対する米国側の疑念や不満がマスコミを通じて赤裸々に伝わっているからだ。

 「ハノイ会談」の決裂後、北朝鮮の核問題をめぐって米韓関係に大きな亀裂が生じたというニュースは、まず、海外メディアからもたらされた。米ブルームバーグ通信は、「北朝鮮の核提案を肯定評価した文大統領、トランプと決別するのか」という見出しの記事で、北朝鮮の寧辺核施設廃棄提案を「不可逆的な段階」と肯定的に評価した文大統領の意見は、トランプ政権と決別したことを意味すると報じた。

 AP通信は専門家の話を引用し、「第2回米朝首脳会談の決裂により、『金正恩が本気で核廃棄を考えている』と主張した文大統領の言葉と、文大統領の仲裁者としての役割に疑問を感じる。文大統領の制裁一部緩和の主張は、制裁を重要視する米国と異なる」と伝えた。

 英フィナンシャル・タイムズも「文大統領は仲裁者としての韓国の役割を強調しているが、専門家たちは、文政権が南北経済協力を強行すると、米韓間に不和が生じかねないと懸念している」と伝えた。

 海外メディアが伝えた「米韓間の不和」は、国連安全保障理事会傘下の対北朝鮮制裁委員会が発表した「年次例報告書」で初めて公になった。3月12日に発表された同報告書は、昨年8月の南北共同連絡事務所の設置過程で韓国が北朝鮮に送った33万8千トン余りの石油製品について詳細に記述した。そのうえで、「国連の加盟国は北朝鮮へのいかなる精製石油製品移転についても対北朝鮮制裁委に報告しなければならない」という「対北朝鮮制裁決議案」の条項に言及した。

 すなわち、国連に報告せず、北朝鮮へ石油精製製品を搬出した文在寅政権に対し、制裁違反の可能性を指摘した。これまで文在寅政権は、マスコミからこの問題が提起されるたびに、「南北連絡事務所から使われる物品搬出は対北制裁違反ではない」とし、「米国をはじめとする国際社会から了解を得た事案だ」という趣旨の反論を繰り広げてきた。

 また、対北朝鮮制裁委員会の報告書は、昨年の6月にシンガポールで行われた米朝首脳会談で金正恩委員長が乗った「リムジンベンツ」を対北朝鮮制裁違反と規定した。そして、その資料写真に、平壌南北首脳会談(2018年9月)で文在寅大統領と金正恩委員長が問題の車に同乗してカーパレードを行った写真を載せた。

 韓国の日刊紙『朝鮮日報』によると、文在寅政権は今年初めに該当写真の掲載情報を事前に知り、掲載を阻止するための外交戦を繰り広げたが、結局失敗したという。同紙は、「南北経済協力を無理に推進しようとする韓国政府に『スピードダウンしなさい』という一種の警告メッセージだ」という専門家の観測を紹介している。

 13日に発表された米国務省の「2018年度国別人権報告書」には、脱北者や関連団体の証言、メディアの報道などを基に、「韓国政府が脱北者たちの対北朝鮮批判活動を抑制した」という内容が明記された。他にも「言論および表現の自由」部門では、板門店で行われた南北高官級会談の時、脱北者出身の記者が韓国政府から取材を制限された事実が取り上げられた。

 21日、米財務省は北朝鮮の石炭・情製油の不法瀬取りに関与したと疑われる船舶のリストを発表し、「LUNIS」という名前の韓国籍の船舶をそこに載せた。米財務省は「リストに含まれたからといって制裁対象とは限らない」と説明したが、韓国の保守系マスコミは「同盟国の船舶をリストに載せたということ自体が問題だ」と指摘した。『文化日報』は「対北朝鮮制裁の緩和を要請しながら制裁と圧迫の遠心力から離脱しようとする文在寅政権に、事実上のイエローカードを突き付けた」と分析した。

 韓国の保守系メディアを中心に、文在寅政権に対する米高官の不満が次々と伝わっている。

 『東亜日報』は、「金正恩の非核化意志を信じない米…対北朝鮮特使として活躍した鄭義溶(チョン・ウィヨン)にも不満」という記事(26日付け)で、ポンペオ米国務長官が金正恩委員長と鄭義溶韓国大統領府安保室長を「ライアー(LAIR)」と非難したと報道した。以下、記事の一部を紹介する。

 「ポンペオ長官が、昨年12月初旬、金委員長と鄭室長に対して相次いで強い不満を吐露した。ジョージH.W.ブッシュ元大統領の葬儀に出席した韓国政府関係者に、『非核化問題において金総書記は「ライアー」だ。全く信じられない人物だ』と語ったという。(中略) 昨年9月に、対北朝鮮特使として訪朝して米朝対話再開の扉を開けた鄭室長についても「ライアー」という表現を使って批判したという」

 「鄭室長が伝えた金総書記の「非核化メッセージ」が事実と異なるのではないかという問題提起と解釈される。ハノイ会談で「非核化概念の定義」(北朝鮮に)を要求して合意に至らなかったトランプ政権が、会談前から北朝鮮だけでなく北朝鮮の非核化意志を「連帯保証」した韓国に対しても不満を抱いて責任を問うたという意味だ」

 『中央日報』は、「米国の『北朝鮮にビッグディール説得』を、韓国は『仲裁者要請』と発表」というワシントン発の記事(25日付け)で、ハノイ会談の決裂直後、トランプ大統領と文在寅大統領が交わした25分間の通話内容を韓国側が歪曲して発表したと伝えた。
 
 「ハノイ会談が物別れに終わった直後、韓国大統領府は文在寅大統領とトランプ大統領の通話内容を発表し、「トランプ大統領は文在寅大統領が積極的な仲裁役を担うことを要請した」と発表した。しかし、ホワイトハウスの事情に詳しい消息筋によると、トランプ氏が文大統領に話した内容は、米国の「ビッグディール」(対北朝鮮制裁解除と、全面的な北朝鮮非核化を交換する方針)を北朝鮮にきちんと伝えて説得すべきだということだった。しかし韓国の大統領府はまるで「北の意見を米国に伝えるメッセンジャー」のように振る舞った。このせいで(米側は)憤りを感じたと(消息筋は)伝えた」

 同紙は、トランプ大統領の側近で朝鮮半島首席戦略家を務めたスティーブ・ベナン氏が側近に打ち明けたというホワイトハウスの雰囲気について次のように伝えた。

 「文在寅政権に対する不満は昨日や今日のことではない。「自暴自棄」的な雰囲気もある。ただ、これを表に出さないだけだ。その瞬間(文政権に対する不満を表に出した瞬間)、韓国内の反米ムードが高まると見ているからだ。それは私たちが決して望んでないことだ。米国が望む韓国政界の構図とも関連する問題だ。ただ、トランプ政権は煮えくり返るだけだ。(just bubbling up)」

 『朝鮮日報』系列のケーブルチャンネル『TV朝鮮』は、米CIAで対北朝鮮交渉を担当したアンドリュー・キム氏が非公開の講演で、文在寅大統領府に対する米国側の不信を指摘したと伝えた。同媒体は22日のニュースで、「アンドリュー・キム元CIAコリアミッションセンター長がスタンフォード大学OBを対象にした非公開講演で、韓国の大統領府が『話してもない話を作り出してきた』とし、『米国は韓国の大統領府側に相当不信感を持っている』と述べた」と伝えた。

 以上の一連のニュースに対して韓国外交部は26日、「事実と違う報道が続いている」と反論した。外交部は定例ブリーフィングを通じて、「米韓両国の高位当局者の実名を取り上げて実際でない表現を引用し、節制されてない非難をすることは堅固な韓米同盟を基礎にした非核化、平和構築過程に役立たないこと」と強く非難した。

 しかし、文在寅政権の強い否定にもかかわらず、米韓関係が悪化しているという見方はすでに「既成事実」になりつつある。補欠選挙を4月に控えた政局で野党側は「最悪の米韓関係」を訴えて、文在寅政権と与党を強く追い込んでいる。

 経済政策と労働政策について「不支持」が「支持」を二倍以上上回る中、外交や北朝鮮政策に対する「支持」で辛うじて40%台半ばの支持率を維持している文大統領としては「韓米関係悪化説」を一日も早く鎮火しなければならない。

 とはいえ、「積弊清算」という名の下で、過去の保守政権の「米国通」をすべて消し去ってしまった文在寅政権にとって、危機一髪の米韓関係を復元させる適任者を探し出すことは至難の技だ。

朴英南 (ジャーナリスト 在ソウル)

最終更新:4/2(火) 12:12
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