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社長だけど、2か月休んでインド“留職”してみた。そこで見えた日本企業の最大の課題とは…

4/2(火) 14:37配信

ハフポスト日本版

2024年には中国を抜いて人口が世界一になると言われているインド。

「経済成長が著しいインドの現場を、働きながら自分の目で見てみたかった」と語るのは、ネット番組NewsX~8bitnewsの3月25日のゲストとして登場した新居日南恵さんだ。社会人を新興国に派遣するNPO法人クロスフィールズの「留職」プログラムに参加し、インド・チェンナイの社会的企業で働いた。

新居さんは、“家族をひろげ、一人一人を幸せに”をコンセプトに、家族を取り巻くより良い環境づくりに取り組む株式会社manmaの代表を務める。

大学生のとき学生起業家として始め、今年5年目を迎える自分の会社を2ヶ月間離れてまで参加したのは、冒頭の理由があるからだ。

「インドってまだ支援される側の国なんでしょ、っていうイメージがまだある人もいるかもしれません。でも一緒に働いた仲間には、大学を卒業して新卒でNPOに入って働く人もいました。インドのなかでも、世の中を変えようと志高くやっている人たちがいて、イメージが変わりました」

新居さんが派遣された先は、10年ほど前から障がい者雇用に取り組む現地のベンチャー企業「v-shesh」だ。

インドでは2016年に「障害者権利法」が制定され、民間企業も、障害者の雇用機会均等に関する方針を策定することが義務付けられた。

2007年の世界銀行の調査では、インドの障がい者の数は4千万人から8千万人と言われており、日本の生産年齢人口7400万人に匹敵する人数だという。これらの人が働けるようになれば、社会にもたらすインパクトは計り知れない。

「たとえば耳が聞こえないと、普通の学校に通っても、ドロップアウトしてしまう子が多いんです。そうすると仕事が見つけられないという負の連鎖に入っていきます。そうした子どもたち向けにエクセルの使い方を教えたり、英語の読み書きを教えたり、早いうちから教育の機会を提供し、仕事に就けるようにv-sheshや現地のNPOがサポートしているんです」と、現地でのさまざまな動画や写真を見せながら、新居さんが説明する。

インドでの新居さんのミッションは、「1社でもいいから現地の日本企業に障がい者を雇用してもらうこと」だったという。

インドにおける日系企業は1400社近くにのぼると言われ、大手製造業だけではなく、ITスタートアップの進出も近年進んでいる。

ところが、インドで障がい者雇用が進んでいるのは、アマゾンやアクセンチュアなどのグローバル企業か、現地企業。日本企業は遅れているのが実情だったという。

「グローバルカンパニーには、インドだろうが中国だろうが、どこに出て行っても、ダイバーシティを重視する、というマインドがあります。一方で日本企業は、インドまで来てダイバーシティとかインクルージョンとか言ってる場合じゃない、という企業がほとんどでした」

ただでさえビジネスを立てていくのが大変なのに、障がい者の方に目を向けている余裕はありません、と断わられることが多かったという。

新居さんの働きかけによって、障がいがある人を雇うことにした日本のベンチャーは、聴覚障がいの人を雇うにあたって、目で確認できるコミュニケーションを増やすため、チャットツールのslackを導入することにしたという。

「新しいツールの導入で、障がいをもつ人だけでなく、聞こえる他の人たちにも便利になります。多様性こそが新しいビジネスの源泉であると言われてはいますが、それを肌で実感する瞬間ってなかなかない。そうやって社内が変わっていくことを理解してもらえるのは嬉しいなと思いました」

最大の課題は一人ひとりの側にある、という新居さん。社会が変われば、障がいは、障がいでなくなる、と強調する。

「v-sheshでは、腕が不自由な人、聴覚に障がいのある人もいっしょに働いています。ほんの少しの英語しかわからない私と、手話しかわからないスタッフ、どちらも障がいにならないように仲間外れに感じさせない雰囲気がありました。社会に生きる一人ひとりがバリアを作らないように考えること、それが障がい者支援の大事なポイントになるのではないでしょうか」

(文:高橋有紀)

ハフポスト日本版

最終更新:4/2(火) 14:37
ハフポスト日本版

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