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映画館のない島で出張上映!『インクレディブル・ファミリー』上映会に行ってきた

4/2(火) 17:00配信

Movie Walker

四方を海に囲まれた、風光明媚な長崎県・五島列島。島中のいたるところに教会があり、いまなお隠れキリシタンの足跡が残る新上五島町には、映画館がない。そんな島の子どもたちが楽しみにしている事の一つが、3か月に1回2本、本土の映画館から出張上映される話題作の数々だ。取材を行ったこの日、映画上映が行われる多目的会館、鯨賓館ホールでは『インクレディブル・ファミリー』の上映会が開催され、会場は待ち望んだ親子連れ、若いカップル、部活帰りとおぼしき中高生などでにぎわった。

【動画を見る】最強のスーパーベビー!ジャック・ジャックが可愛すぎる『インクレディブル・ファミリー』本編映像

今回上映された『インクレディブル・ファミリー』は、ディズニー/ピクサーの記念すべき長編20作目であり、全米アニメーション作品興行収入歴代No.1を記録、国内興行収入も48億円を突破。MovieNEX、4K UHD MovieNEXで発売され、デジタル配信中だ。それぞれ異なるスーパーパワーを持ったスーパーヒーロー家族である彼ら。超人的なパワーをもつパパのボブ、伸縮自在なゴム人間のママのヘレン、鉄壁バリアで防御できる長女ヴァイオレットと、超高速移動できる長男ダッシュ、さらにスーパーパワーに目覚めたばかりの赤ちゃんジャック・ジャック…。家事、育児、さらに世界の危機までもを、家族の絆で乗り越える姿を描いた、家族で楽しめるアドベンチャー大作だ。

上映会の取り組みについて、鯨賓館ホールでの映画上映を10年以上にわたって支えている、佐世保市の映画館「シネマボックス太陽」の支配人である村岡実さんに話を聞いた。

――上映会を開始されたきっかけは。

「18年ぐらい前です。最初は2000年に『ハリーポッターと賢者の石』を上映しました。ボランティアの方に相談されて一回やってみようかなと。その時は上五島の人口が2万8000人だったうち2700人ぐらい入って、常に満席だった。それから『モンスターズ・インク』『Mr.インクレデイブル』など、ディズニー/ピクサーの映画はほぼやっていましたね。最初はボランティアの方と一緒に学校の体育館とか小さなホールを借りてやっていたのですが、ここ(鯨賓館)がオープンする前に映画の上映を定期的にやりたいと行政に提案したところ映写機を導入してくれて。DLPに変わってからは、ウチが買ったデジタル用映写機で県内の島を周っています」

――長い間続けてこられた理由はなんでしょう。

「子どもたちにとって、“映画で人生が変わる”とまでいうのは言い過ぎかも知れませんが、映画に触れることで物事の感じ方って変わると思うんです。新上五島町の行政もそこを理解してくれるので助かりますね」

――上映される映画のバランスは?

「ターゲットは、ファミリーかシニアか中高生、この3つです。基本的には封切り時に映画館でヒットした作品のなかから選びますが、クリスチャンが島に多いので、キリスト教関係の映画の場合はミニシアター系の映画でも常に上映しますね。メル・ギブソン監督の『パッション』は1000人ぐらい動員しましたし、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』は5~600席がほぼ満席でした」

――一般的な興行との差はどんなところでしょうか。

「先に申し上げたようなキリスト教を題材にした映画のときは教会に案内を出すんです。日曜は朝9時からミサがあるので時間をずらしたり、土曜日にしたりします。あと、島の子どもはほぼ全員が部活に入っているので土日の昼間は練習があり、土曜の夜が一番来てもらえます」

――島の上映で思い出深い作品を教えてください。

「『ROOKIES 卒業』はお客さんが沢山入ったんですけど、上映が終わると拍手してくれて。五島列島の人たちは映画を“応援”してくれるんですよね、野球の映画だったら『頑張れ!』って立って叫んだり、応援上映みたいで感動したんです。劇場に勤めて20年ぐらいになりますが、終わった後に拍手って中々ないんです。島では、そういった映画の感動的な瞬間を何度も経験しました」

上映会が終わると『インクレディブル・ファミリー』を見た人々がホールを笑顔で後にし、「ありがとうございました!」と声をかけながらその姿を見つめる村岡さんの表情にも確かな手応えが感じられた。幼稚園児と小学校低学年くらいのきょうだいは、入場記念のステッカーを手にして大はしゃぎ。中学生の男子3人組は、口々に面白かった場面を言いあい、迎えに来た家族にも嬉しそうに感想を話していた。

本作の見どころの一つは、家事に育児に悪戦苦闘しながらも大奮闘するボブを始め、ヒーロー活動中に危機に陥るヘレン、恋に悩むヴァイオレット、算数の宿題に悪戦苦闘するダッシュなど、それぞれの年代が抱えた問題を家族の絆で乗り越えていくところ。そんな“家族”の姿には、どの年代でも誰もがきっと共感できるはず。また、本作と劇場で同時上映された短編映画の『Bao』は、2月に発表された第91回アカデミー賞で短編アニメ映画賞を受賞。息子が成長して家を離れていき寂しくてたまらない母親と、ある日突然命が宿った手作りの中華まんの日常を描く、ハートフルな“家族”の物語だ。家族みんなで笑って泣ける両作品を、MovieNEXやブルーレイ、デジタル配信で堪能してほしい。

(Movie Walker・取材・文/編集部)

最終更新:4/2(火) 17:00
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