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顧客から選ばれる士業・専門家になるためのテクニック2019

4/3(水) 7:00配信

アスキー

ASCII STARTUPは2月26日、ホームページ作成サービスBiNDupとの共同セミナー「士業・専門家が知るべきウェブサイト活用の最前線」を開催した。
 ASCII STARTUPは2月26日、東京・飯田橋の角川第3本社ビルにて、ホームページ作成サービスBiNDupとの共同セミナー「士業・専門家が知るべきウェブサイト活用の最前線」を開催した。
 
 本イベントは、弁護士などの各種士業、コンサルといった専門知識を活用するビジネスにおける集客を目的としたもの。講師として、BiNDup×ASCIISTARTUP「ホームページの現在」を連載中の株式会社まぼろし取締役CMOの益子貴寛氏、日本最大級の弁護士検索・法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」で弁護士業界を支援している島津忠昭氏、ウェブ開発ツール『BiNDup』を展開するデジタルステージ代表取締役の熊崎隆人氏の3名を迎え、各講師からの講義とパネルディスカッションが行なわれた。
 

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士業ホームページの改善ポイント10
 まずは益子氏の講義。冒頭に、弁護士業界の動向に即したホームページの改善ポイントを紹介した。近年、士業は増加傾向にある。税理士は、2000年の6万4000人から2018年は7万7000人の1.2倍増、司法書士は1万7000人から2万2500人の1.3倍、弁護士は、1万7000人から4万人と2.3倍に増加しており、競争環境は激化しているといえる。
 
 数年前まで士業のホームページのアピールポイントは、「お客様を大切にする」「気軽に相談できる」「安心を提供する」「パートナーとして長いお付き合い」「さまざまなニーズに対応」といったものが定番だった。
 
 しかし今は、以前のような漠然としたアピールでは集客や成果に結びつかない。個々の専門家が得意とする具体的な課題解決方法を明示することが大切だ。たとえば、「相続税対策」や「会社設立」、「セクハラ・パワハラ問題の解決」、「介護事業の労務管理や人事制度」、「代替わり・事業継承後の中小企業の支援」など、誰に向けて、どのようなサービスを提供するのかを、トップページで明確にアピールするのがポイントとなる。
 
 いいホームページの条件は、1)得意分野、2)事務所のある地域、3)問い合わせへの導線――の3つがきちんとわかること。
 
 具体的な改善ポイントは、以下の10項目だ。
 
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 くわしくは連載「ホームページの現在 」第6回で解説しているので参考にしてほしい。
 
専門家探しにインターネットを活用する人が9割以上!
 続く島津氏の講義では、弁護士ドットコムの調査から見える士業の探し方の変化と、法律事務所の抱える課題について解説した。
 
 弁護士ドットコムは、日本最大級の無料法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」をはじめ、「税理士ドットコム」、「ビジネスロイヤーズ」、クラウド契約サービス「クラウドサイン」の運営している。登録弁護士向けには、集客や経営、業務支援サービスなどを提供している。2018年の弁護士ドットコムへのアクセス数は月1000万人を超え、弁護士ドットコムを通して実際に弁護士へ問い合わせた件数は、44万件/年を超える。
 
 また弁護士ドットコムでは、調査会社のマクロミルとともに年に1度、法律相談に関するアンケート調査を実施。2018年12月に実施された「弁護士をどのように探すか」というアンケートの結果は、1位「インターネットで検索する」が40.2%で、2位「知人を介しての紹介」の16.8%を大きく引き離している。
 
 「弁護士に相談する前に、インターネット上でホームページやブログなどを確認するか」という質問では、「必ず確認する」37.6%、「確認すると思う」56.2%という結果で、9割以上の人がインターネット上の情報を参考にすることがわかる。専門家を探すにも、信頼を得るにも、インターネットの影響が大きくなっている。
 
 さらに「弁護士ドットコム」の訪問ユーザー数は、スマホからのアクセスが全体の約7割と圧倒的で、スマホ向けサイトの整備も重要だ。同社調査によると、法律事務所のホームページの所有状況は全体の約45%と少なく、そのうちスマホへの対応率は5割程度。専門家探しにインターネットを活用しているユーザーとの差が大きいのが課題だ。新たな顧客獲得には、まずホームページの整備とスマホへの対応の2つに取り組むべきだろう。
 
選ばれる士業には、ホームページを活用したブランディングが重要
 3番目の講義は、ウェブページ制作ツール「BiNDup」の開発元である、株式会社デジタルステージ代表取締役 熊崎 隆人氏が登壇。ブランディング、コンテンツマーケティング、ターゲティング――の3つの観点からホームページの作り方をアドバイスした。
 
 まずブランディングについて。士業や専門家は、資格さえあれば誰に頼んでも同じと見られがちな業種でもある。選ばれるためには、しっかりとブランディングをして他者と差別化をすることが大事だ。簡単にできるブランディング手法として、1)過去実績の掲載、2)専門的ノウハウのコンテンツ化、3)人とのなりのコンテンツ化の3つを紹介。
 
 士業や専門家がブランディングに踏む込まない最大の理由は、守秘義務から過去実績を載せづらいためだ。しかし、きちんと関係者に許諾をとることで、ホームページに実績を掲載することができる。専門的ノウハウは、掲載することで他者との差別化要素が生まれる。人となりのコンテンツ化とは、芸能人やタレントと同様に、個性をウリにすること。自分らしさのアピールは他者との差別化がしやすく、ブランディングとして効果的だ。
 
 次に、コンテンツマーケティングについて。「コンテンツ化」とは、写真と文章をホームページの中に掲載すること。キャッチコピーだけで集客できる時代は終わった。しっかりと内容のある文章や内容を考えて、内容の濃いコンテンツをつくられているかどうかを、Googleは評価している。
 
 内容の濃いコンテンツづくりには、ターゲティングも重要だ。本来士業には得意分野があり、非常にターゲットは狭い。地域・商圏、専門性、職種、社会ニーズ、年齢・性別、環境変化、顧客の悩み、事業規模など、ターゲットを絞り込むことで、具体的なコンテンツが書きやすくなり、SEO効果も高まる。
 
 最後に、「士業は、資格のない起業家に比べると、ウェブマーケティングをさぼりがち。しかし、時代は変わってきている。『BiNDup』を使えば、テンプレートから自動的にPCサイトとスマホサイトがつくれるので、ぜひホームページ制作に活用してほしい」と熊崎氏は語った。
 
識者が語る士業ならではのウェブ戦略
 第2部のパネルディスカッションでは、士業ならではのウェブ戦略について、益子氏、島津氏、熊崎氏の3者がそれぞれの考えを語った。
 
ひとつ目のテーマ「士業はどのように、ビジネスの認知、クライアントを得るべきか?」
 
島津氏(以下、敬称略):「インターネットを使って士業・専門家を探す方がどんどん増えてきているのに、専門家側のホームページの所有率が低いことにギャップを感じています。普及が進まないのは、15年くらい前まで弁護士業界は広告が禁止されていたことも原因。今も表現などに規制があるため一歩踏み出せないのでは」
 
熊崎氏(以下、敬称略):「ホームページを持っているだけではなかなか見てもらえない。たとえば、一度名刺交換をした相手にはSNSでつながってアプローチしていくのも手。トータルでマーケティングをしていくことが大事です」
 
島津:「リスティング広告を使う方法もありますが、弁護士のような競争の激しい分野は、費用が高い。たとえば『交通事故』のGoogleリスティング広告は、1クリック5000円弱かかります」
 
益子氏(以下、敬称略):「1クリック5000円は、カードローン並みの相場。通常は100円くらいなので、相当高いです」
 
熊崎:「今は交通事故など特定の分野に集中しているが、ウェブで手軽に相談できるようになれば、専門家に頼むシーンが広がってくる。もっと広げていくためにも、コンテンツマーケティングを手掛けていくといいのでは」
 
益子:「問い合わせのハードルを下げてあげることもすごく重要。ホームページに問い合わせフォームやチャットボックスを設置すると、気軽に相談しやすくなります」
 
島津:「ターゲットに合わせた窓口を用意するのも重要です。過払い請求、債務整理などは、ガラケーに対応したほうがいいかもしれません。どういう分野の方がお悩みを抱えているのかにも着眼して、選んでいくと親切ですね」
 
益子:「地域ターゲットは絞り込むべきなのか、それとも広げたほうがいいのでしょうか?」
 
島津:「弁護士ドットコムでは、『関東』、『関西』『九州』という大きなエリアで絞っています。というのも、弁護士に限っては必ずしも近いほうがいいとは限らない。よい事務所であれば、少し遠くても行きたい。また、相談内容によっては、かえって近所の事務所には行きづらいこともあるようです」
 
熊崎:「検索で地域名を入れないのは東京の人だけ。地方に住んでいる方は、必ず検索するときに地域名を入れて絞り込みます。ただし、今後は位置情報などから、ある程度近隣の地域に自動的に絞り込まれるようになるので、地域名は必要なくなってくるかもしれませんね」
 
益子:「女性はGPSをオフにしていることもあります。今のところは、事務所の地域名や対応可能なエリアは必ず入れておいたほうがいいでしょう」
 
2つ目のテーマ「専門的知識の商品化におけるポイントとは」
 
島津:「一般の方は、最初の相談後にどのような展開があるのかわからない。ホームページに料金を記載する場合、いつ、どのタイミングでどのくらいの料金が発生するのかが書いてあるとアクセスしやすいです」
 
熊崎:「専門分野のコンテンツに、一般的な業務や資格の説明などを書きがちですが、それでは差別化にならない。事例についても、何もかも載せればいいというのではなく、どのように見せたいのかを考えて、戦略的に情報を出すのがポイントです」
 
益子:「どういうレアなサービスが提供できるかをまず考えて、アピールすることですね」
 
3つ目のテーマ「士業ウェブサイトにおけるデザインの重要性」
 
島津:「弁護士の場合、一般民事/刑事事件/企業の顧問弁護士など、どういうお客様を獲得したいのかによって、デザインを柔軟に変えていかなくてはなりません。たとえば、プロフィール写真でも、民事にはノーネクタイで柔らかい雰囲気、企業のお客様向けには固いスーツで重厚なプロフィール写真など、見せ方を変えていく工夫は必要です」
 
熊崎:「米国の法律事務所はインテリアにもお金をかけているところが多いが、日本の士業の事務所は、地味なので写真素材に困る。どうやって差別化するのかは悩ましいところ」
 
益子:「立派な庭園など、屋外で撮影するのも手ですね」
 
島津:「士業のホームページは、専門用語が多く、文字だらけになってしまう傾向がある。ひらがなを多めに、あえてスペースをとるなど工夫すると読んでももらいやすくなります」
 
益子:「スマホで長文を読むのはキツイ。スマホ向けのページでは、最初のページでは一部を表示して、続きは非表示にするといい」
 
熊崎:「文字だらけにならないように、素材サービスなどを利用してイラストで説明すると、かなり印象が柔らかくなります」
 
4つ目のテーマ「ウェブサイトがあるだけでは、問い合わせは来ない」
 
島津:「ホームページをつくっただけでは見てもらえない。誰かに見てもらうために、弁護士ドットコムなどポータルへの登録で人を集める。そこから詳しく確認したいときに、重厚感のあるホームページがあることで信頼感が生まれます。どちらか一方ではなく、ポータルとホームページの役割を分担して活用していくことが大事です」
 
益子:「ホームページにアクセス解析(Google Analytics)を入れておくと、アクセスした人の年齢、性別、地域が無料でわかる。反応を参考にしながら戦略を立てていくといいでしょう」
 
熊崎:「ポータルサイトの活用は非常に効果的だが、それだけでは、同じ地域での競合と差別化が難しい。士業であれば、名刺交換、お礼メールなどでホームページに誘導する手法もあります」
 
島津:「『税理士ドットコム』では広告ではなく、マッチング事業も行なっています。弁護士は広告内容などに制限があるが、ほかの士業であればもっと尖った見せ方ができるので、ぜひ自由にやっていただきたい」
 
熊崎:「問い合わせの窓口としてホームページを設置するだけではなく、メールを使った相談や、掲示板で相談を受けるなど、ウェブで新しいサービスを始めている動きもありますね」
 
益子:「メールマガジンを発行するのもいいと思います」
 
最後のテーマ「つくっただけでは終わらない、さらなる活用法」
 
益子:「(来場者の)みなさんは、Googleマイビジネスに登録していますか? 登録しておくと、Googleマップで事務所の所在地にピンが立ち、Googleの検索結果にも概要がリスト表示されます。無料で登録できるので、必ず登録してください」
 
熊崎:「Googleは進化が早く、米国では予約システムもウェブでできるようになるなど、Googleが既存のポータルにとって代わろうとしている。士業のパーソナルアプローチも、いずれGoogleでできるようになるかもしれない。Googleの新しいサービスについては注視しておいたほうがいいですね」
 
島津:「ウェブ以外での顧客獲得としては、異業種交流会やパーティーなどの場、案件ごとに関わる事業者など、オフラインでの活動も集客に影響してきます」
 
熊崎:「士業の方は、リアルのパーティーなどの場で人的なネットワークを広げながら、地道に新規顧客、見込み客へとつなげている動きは見られますね」
 
益子:「問い合わせへの返信が早いだけでも契約獲得率は大きく違ってきます。スピードは力です」
 
島津:「士業の先生は、面談や裁判などでお忙しくされており、なかなか電話にでられていないイメージがあります。なるべく早く受ける、きちんと折り返すだけでお客様の獲得につながっていくと思います」
 
熊崎:「打ち合わせなどで、すぐに電話に出られる状況になければ、メールやSNSのメッセージなどの方法で、なるべく早くレスポンスがとれるように工夫するといいでしょう」
 
島津:「弁護士の先生以外が法律相談にのることはNGだが、受付など有資格者でなくてもできる業務は電話代行や秘書サービスなどを活用するのもひとつの方法です」
 
 最後に参加者へのメッセージとして、益子氏は、「まずはQ&Aやお客様の声に力を入れてほしい」と提案。島津氏は、「新規顧客獲得だけでなく、現在の依頼者と継続的にお付き合いをしていくうえでも、情報発信の手段は必要。ホームページを持っていないのであれば、早めに取り組んでいただきたい」。熊崎氏は、「士業は横並びになってしまう傾向が非常に強い業種。お客様に選ばれる理由をもっていないと声がかからない。資格+αで何ができるのか。選ばれる理由を考えてアピールすると、必ず成果がでるはずです」として、本セミナーを締めくくった。
 
 
文● 松下典子 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

最終更新:4/3(水) 10:23
アスキー

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