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ネトフリで支持集めた『DEVILMAN crybaby』 現代にデビルマンが取り上げられる理由とは

4/4(木) 16:40配信

マグミクス

「#Me Too」運動とデビルマン

 2018年、日本でもよく耳にした「#Me Too」運動。これはセクシャルハラスメントや性的暴行被害を「Me Too」というハッシュタグをつけてSNS上で共有していく運動のことです。

 この運動に影響を受けた「Time’s Up」がハリウッドの著名人を中心に起こります。「Time’s Up」は、「時間切れ」や「もう終わりにしよう」という意味で、現在被害を受けているセクハラ問題から過去の性的被害、そして女性に対する差別や不公平を撲滅していこうというものです。「Time’s Up」は、やがて世界的な運動になっていきます。

 2018年のゴールデングローブ賞授与式で著名な女優らが黒い衣装で登壇したことが注目を集めました。『ラ・ラ・ランド』(2016年)主演のエマ・ストーンや『レオン』(1994年)のマチルダで有名なナタリー・ポートマンといった日本でも知られる女優らの黒い衣装は、被害者との連帯を意味する行動でした。

 ただ、そんな異例ともいえる黒づくめの式典に、カラフルなドレスで登場した女性がいました。式典を主催する、ハリウッド外国人記者協会会長のメハー・タットナが赤のドレスで登場し、女優のブランカ・ブランド、モデルのバーバラ・マイヤーも“色付き“のドレスで姿を見せました。当然のように、アメリカ国内からは「なぜ運動に参加しないのか?」「被害者に寄り添う精神はないのか?」といった批判が3人に集中しました。

 インド人であるメハーは、「インドの文化では赤は祝福を意味があり、そうした文化を大切にしたい」と話しています。3人とも「Time's up」運動に決して反対しているわけではありません。むしろ、ムーブメントへの支持を表明しています。騒動になったのは、周囲と違う色のドレスを着ていたことだけでした。

 デビルマンにおいても同じような構図が読み取れます。「人間を守りたい」「平和を願う」気持ちがありながらも、変身した不動明の姿は私たちの想像する悪魔そのものです。『デビルマン』の原作の終盤には、不動明の味方として共に悪魔と戦ってきた牧村家と、ヒロインの牧村美樹が悪魔ではなく人間の手によって殺されてしまうという、衝撃的な結末が待っています。

 作中では、悪魔に支配されつつある人間たちが、恐怖や思い込みから牧村一家に襲いかかり、驚くべきほどの残虐性を見せます。「おれはからだは悪魔になった……だが、人間の心をうしなわなかった! きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に! 悪魔になったんだぞ!」というデビルマンのセリフどおり、真の悪魔は人間のなかに潜んでいるという、強烈なメッセージを発しています。

 人は肌の色、性、言語、民族、思想、宗教を媒介に、“他人と何が同じで、何が異なるか“を気にしてしまいがちです。“違いは敵対と攻撃を生む“というのがデビルマンのテーマであり、同作品はそれを衝撃的なストーリーとビジュアルで徹底的に描いているのです。
 
「トラウマ級の衝撃に備えよ」という宣伝文句の『DEVILMAN crybaby』は、こうした原作のストーリーをベースとした、非常に重くダークな作品です。公開から1年以上経った現在もなお、ネット配信ならではの映像表現で、人間のなかに潜む“悪魔“を観る者に突きつけてくることでしょう。

二木知宏

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最終更新:4/4(木) 16:43
マグミクス

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