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受刑者に監房の鍵、看守は要ノック 英刑務所で更生に向けた革新的な取り組み

4/6(土) 11:02配信

The Telegraph

【記者:Charles Hymas】
 受刑者には監房の鍵が渡され、看守は監房に入る際にノックを求められる──英ウェールズにあるバーウィン刑務所で行われている、受刑者の更生に向けた革新的な取り組みだ。

 バーウィン刑務所は2億5000万ポンド(約365億円)をかけて新設されたイングランド、ウェールズの中で最大の刑務所。受刑者にこれまで以上のプライバシーを与えるため、このような措置の実施に踏み切った。受刑者は日中は自由に監房を出入りしたり、鍵をかけたりできる。

 鍵は二重構造になっており、受刑者に与えられた自由を看守が無効にすることもできる。つまり、受刑者は夜間監房から外には出られない仕組みだ。刑務所の職員によると、「まずノック」の方針は礼儀正しい環境作りの一環だが、捜査や問題発生時には撤回されるという。

 バーウィン刑務所は管理体制の一環として、こうした方針を取り入れている。より「家庭的」な環境にしようと、呼び方も監房を「居室」、受刑者を「人」と変更。収容棟は「コミュニティー」、拘置所は「待合室」と呼ばれ、受刑者にはノートパソコンが支給される。

 バーウィン刑務所の取り組みは、王立英国建築家協会(RIBA)が作成した報告書「Wellbeing in Prison Design(刑務所設計における福利)」で明らかにされた。報告書は、英国で建設が予定されている六つの刑務所の設計や運営に新しい考え方を提供するため、英司法省の協力により作成された。

 報告書には、次のような記述がある。「自分の環境を好きに整えられる可能性を与えられるということは、組織というより広い権威の中で帰属意識やアイデンティティーを育む手助けとなり、身柄を拘束されている人の心身の健康に大きな恩恵となる」

「身柄を拘束されている人に窓の開け閉めや換気、室温や照明の調整、内装の選択などを許すことで、空気の悪さからくる健康への悪影響を軽減するとともに、自己効力感を育むことができる」

「バーウィン刑務所での観察結果は、『身柄を拘束されている人に自分の居場所を管理させれば、その場所をきれいにしたり大事にしたりできるようになる』という考え方を裏付けている。これは、物理的な設計と運営哲学の足並みを揃えることがいかに大切かを示す重要な事例だ」

 報告書はまた、窓を設置して自然を見やすくする、狭い廊下をなくして動きやすくする、画一的でなく明るい色を取り入れる、などを奨励している。

 新設される六つの刑務所の収容人数は計1万人。司法省は「新しい刑務所のデザインが受刑者の心の健康と更生に役立ち、再犯率の低下につながるという見解は喜んで受け入れる。だが、この報告書が将来の刑務所の青写真というわけではない」との考えを示している。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:4/6(土) 11:02
The Telegraph

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