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電動化特許の無償提供に踏み切ったトヨタ、「攻め」と「守り」の潮目

4/8(月) 10:37配信

ニュースイッチ

「(HV技術の)囲い込みを反省した」

 ハイブリッド車(HV)を中心とした電動化技術の特許を無償提供することを決めたトヨタ自動車。モーターやパワーコントロールユニット(PCU)といった中核技術の特許を含め、約2万3740件が対象となる。電動車を開発するのに必要な中核システムを他の自動車メーカーが採用する際、トヨタは技術支援も担う。寺師茂樹副社長は「世界的に燃費規制が強化される中、グローバルに電動化技術を共有できる取り組みが必要だ」と話す。トヨタは潮目の変化をどう読んでいるのかー。

 電池を除く車両の電動化技術全般の特許を2030年末まで無償提供するほか、15年1月に公表し20年末までとしていた燃料電池関連の特許約5680件(当時)の無償化も、30年末まで延長することを決めた。世界的に燃費規制が強化される中、競合他社に技術を無償提供し、HVの市場拡大につなげる。

 トヨタは得意のHV技術を軸に、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を組み合わせて、各地域の環境規制に対応する戦略を他メーカーにも促す。寺師副社長は「現状の電動化技術(の普及)は、この10年が大きなヤマ場だ」とし、自社技術の提供で市場形成を加速する考えを示した。

 FCVでは取り込んだ空気をより浄化して排出する「マイナスエミッション」の概念で環境改善への貢献を訴求し、技術の普及拡大を図る。

 トヨタは今回、自社だけで醸成してきたHV技術を外部に提供することになる。寺師副社長は「(HV技術の)囲い込みを反省した」と振り返る。「(トヨタは)次世代の技術開発をしている。当社の技術進歩がある限り競争力はなくならない」と指摘。無償提供でHVのデファクトスタンダード(事実上の標準)を形成しながら、次世代HVで主導権をさらに盤石にする思惑が透ける。

 スズキとは先日、ハイブリッドシステムの供給やOEM(相手先ブランド)供給の対象車種・地域の拡大など、新たな協業について検討を始めた。協業範囲の拡大により、トヨタはHVを中心とする電動化技術の普及加速を、スズキはグローバル市場での事業拡大を狙う。

 トヨタによるハイブリッドシステムの供給はグローバル市場が対象で、時期や搭載車種などは今後詰める。このほか、2020年後半にトヨタが欧州でスズキにHVのOEM供給を開始。20年末にはスズキがインドで生産する小型車を、トヨタのアフリカ市場向けにOEM供給する見通しだ。

 トヨタの豊田章男社長は「今回の合意により、インドや欧州をはじめ、グローバルにおいてさらにハイブリッド技術が普及することを期待している」と話す。スズキの鈴木修会長は「ハイブリッド技術も使わせていただけることになったのは誠にありがたい」と、提携の進捗(しんちょく)を喜ぶ。

 トヨタは17年末に、電動車の販売を30年に550万台以上に増やす目標を掲げた。18年は欧州でのHVが好調なことなどを受け、電動車販売台数は約166万台と過去最高を更新。累計販売台数は1300万台を突破している。

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最終更新:4/8(月) 13:24
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