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認知症予防や進行抑制にも期待「毛細血管」こう若返らせる

4/9(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 骨粗しょう症や認知症予防に役立つとして、近年注目を集めているのが「毛細血管」だ。毛細血管の研究に力を入れる大阪大学微生物病研究所情報伝達分野の高倉伸幸教授に話を聞いた。

「病気予防などで血管の話が出る時、それは大動脈や冠動脈。これまで毛細血管はほとんど注目されてきませんでした」

 毛細血管は血管内皮細胞同士がくっついてできており、その隙間を押さえるように、壁細胞が一定の間隔で接着している。毛細血管を通って血液はゆっくり運ばれ、接着部分から血液中の酸素や栄養をほどよく細胞に浸透させる。毛細血管内の方が外より圧が高いので、隙間から出た酸素や栄養素は外の組織に拡散され、効率よく吸収される。また、余分な血液は減らさずに二酸化炭素や老廃物を回収する。「ゴースト血管をつくらない33のメソッド」の著者でもある高倉教授が毛細血管に関心を持つようになったのは、血液・腫瘍内科で臨床医としてがん治療をしていた時だった。

「優れた薬効の抗がん剤でも、効かない患者さんがいる。そこでがんの血管をテーマに研究を始めたところ、薬が効かないのは、がんの中の毛細血管に問題があることが分かりました」

 がんの中の毛細血管は、壁細胞が血管内皮細胞に正しく接着していない。そのため過剰に血液が漏れ、いわば水浸し状態になり、抗がん剤が細胞に届かなくなる。だから、効きが悪い。この“漏れやすい”毛細血管は、がんの人に限ったものではない。主に2つの原因によって、体の毛細血管が“漏れやすく”なっている人が多いのだ。

「原因のひとつは、老化です。加齢により細胞の分裂機能は低下する。毛細血管を構成する血管内皮細胞も同様で、毛細血管が劣化します」

 これに拍車をかけるのが、高血糖だ。高血糖で体内に焦げのような物質「AGE」が発生。

「AGEは老化の要因になり、これを、毛細血管の血管内皮細胞の受容体が取り込むと、活性酸素が大量に発生し、血管構造を保つ壁細胞の機能が低下して血管内皮細胞の隙間が開くのです」

 実は近年、国内外の研究者らが、毛細血管がさまざまな病気や不調と関係していることを論文で発表している。高倉教授が特に注目した内容を2つ挙げよう。

【骨粗しょう症】

 2014年、世界的に権威のある医学雑誌「ネイチャー」に掲載された。

「骨の先端部にある海綿骨は関節のクッションとなる部分で、この周囲に毛細血管が大量に存在していることが明らかになりました。そしてこれらの毛細血管が劣化して、不安定な状態になると、栄養や酸素が行き渡らず、新陳代謝が行われなくなる。健康な毛細血管では、その血管内皮細胞から生理活性物質が分泌され、骨芽細胞が新しい骨をつくりますが、それも行われなくなり、骨粗しょう症を発症するのです」

【認知症】

 認知症で最多を占めるアルツハイマー病は、脳にアミロイドβというタンパク質が蓄積することが引き金だが、毛細血管も関係していることが明らかだ。

「必要な物質を血液中から選んで脳へ供給し、また脳内の不要な物質を血液中に排出する関門である血液脳関門は、毛細血管で形成されています。これらの毛細血管の血管内皮細胞の機能が低下し、血液成分が漏れ出るようになると、アミロイドβの排出が滞り、脳内に蓄積するのです」

 欧米の認知症治療の研究家は、毛細血管にフォーカスした薬の開発に携わっている。アミロイドβの蓄積が始まってからアルツハイマー病を発症するまで10年ほど。

 蓄積が始まった頃から脳の毛細血管を活性化する薬を投与できれば、認知症の予防・進行を遅らせることが期待できる。

 劣化した毛細血管は、若返らせことが可能。

「血流を良くして未成熟な毛細血管を血液が大量に流れるようになれば、酸素や栄養素が細胞に届きやすくなり、毛細血管が若返る」

 最も効果的なのは運動。20~30分のウオーキングなどを毎日続けるといい。

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