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「正当な評価を」ノーベル賞・本庶佑氏が抱く危機感

4/10(水) 21:24配信

産経新聞

 「正当な評価を」-。自らの研究をもとに開発されたがん免疫治療薬「オプジーボ」の特許料をめぐり10日、報道陣に対し、見解を明らかにした京都大の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授。この日は、オプジーボを開発した小野薬品工業との間で難航する交渉について、弁護士を伴って自らの主張を説明したが、異例の見解表明に至った背景には、日本の基礎研究を取り巻く環境に対する強い危機感がかいま見える。

 会見は10日午後3時半から、京都市左京区の京都大で開かれた。本庶氏側の弁護士として小野薬品との交渉にあたっている井垣太介弁護士が交渉過程を説明。本庶氏は、その様子を腕組みをしながら静かに聞いていたが、発言を促されると、「公正な産学連携のモデルを作らないと、日本のライフサイエンス(生命科学)がダメージを受ける」と切り出した。

 本庶氏は、交渉が難航している現状を受け「日本発の研究シーズが、日本企業ではなく、海外企業に真っ先に行くことになる。海外に持っていけば、国際的に正当な評価をしてくれるとみんなが感じ始めているからだ」と指摘。

 「こういう10年に1度あるようなモデルがうまくいかないとなると、若手の研究者ががっかりしてやる気を失ってしまう」と強調した。

 国立大学の「運営費交付金」が減額傾向にあるほか、基礎研究を支える支援策「科学研究費助成事業」の増額幅も伸び悩むなど、基礎研究に関わる研究者を取り巻く環境は年々厳しくなっている。

 本庶氏は、日本の基礎研究の重要性を訴え、昨年12月に、若手研究者を支援する基金を創設。自らのノーベル賞の賞金のほか、オプジーボの特許料を充てるなどして、1千億円規模の基金にすることを目指している。

 この日、小野薬品との関係について「ここでお互いきちんとした正しい評価をし、ウィンウィンの関係を構築するということが、日本国民にとっても最大の利益になる」と語った本庶氏。「それはアカデミアにとっても、長い目で見れば産業界全体にとって大きなメリットになる。そこをきちっとしたいというのが私の最大の目標だ」と語気を強めた。

最終更新:4/10(水) 21:24
産経新聞

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