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【解説】EHTが撮影したブラックホールシャドウとは

4/11(木) 21:43配信

sorae 宇宙へのポータルサイト

ブラックホールシャドウがブラックホールの証明になる

この「影のように見える部分」、すなわちブラックホールシャドウを撮影できれば、結果的に「ブラックホールが存在する」と証明できるわけです。ただ、ブラックホールシャドウを撮影するには、とてつもなく高い解像度を持った望遠鏡が必要でした。

今回観測の対象となったM87までの距離はおよそ5,500万光年で、その直径は12万光年ほど。中央からは灯台の明かりのようなジェットが8,000光年にわたって噴出しています。

ブラックホールシャドウを捉えるには、そのジェットの発生源にひたすらズームしていかなければなりません。結果的にM87の超大質量ブラックホール周辺で撮影されたリングの見かけの大きさは42マイクロ秒角と極めて小さく、これは「月面に置いた野球のボールを地球から見る」のと変わらない小ささでした。

そこでEHTでは「アルマ望遠鏡」をはじめとした世界8か所の電波望遠鏡をリンクして、地球サイズの電波望遠鏡を使ったのと同じ効果が得られる「VLBI(超長基線電波干渉計)」という手法を活用しました。得られた解像度はリングよりも小さな20マイクロ秒角で、「月面のゴルフボールを見分けられる」レベルに達します。

VLBIによるM87の観測は2017年4月5日、6日、10日、11日に実施。観測によって得られたデータはおよそ500テラバイトと膨大であり、地球の大気による影響や観測装置を由来としたノイズなども考慮して、慎重に解析が続けられました。その結果が、冒頭に掲載したブラックホールシャドウを捉えた画像へとつながったのです。

VLBIによってズーム撮影された範囲は、こちらの画像に示されています。M87(左上)のジェットの根元にある明るいエリア(右上)をさらに拡大した先に、ブラックホールシャドウを縁取るリング(下)が輝いていました。

深まる8000光年ジェットの謎

今回の観測成功によって、あくまでも一般相対性理論にもとづく理論上の存在でしかなかったブラックホールを、電磁波によって直接観測できることが証明されました。

また、リングの直径が判明することで、ブラックホールの質量を今までよりも正確に求められるようになります。今回観測されたM87の超大質量ブラックホールは、太陽の65億倍の質量を持つことがわかりました。

しかし、観測によって新たな謎も浮上しました。ブラックホールシャドウの周辺にはリングこそ写っているものの、8,000光年の長さを持つM87のジェットにつながる構造が見当たらないのです。いかにしてジェットが生み出されているのかは、今後の課題として残されたままです。

昨年12月に恒星間空間へ到達したと発表されたときの「ボイジャー2号」までの距離が180億km、およそ0.002光年なので、M87のブラックホールシャドウは太陽系が簡単に収まってしまうほどの大きさということになります。EHTが扉を開いた「ブラックホールの直接撮影」、次にその姿を見せるのは、どのブラックホールになるのでしょうか。

松村武宏

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最終更新:4/11(木) 21:43
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