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ひきこもる就職氷河期世代。ひきこもり100万人時代、中心は40代。家族が苦悩する「お金問題」

4/11(木) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

息子にお金残したいと介護サービスも拒否

ひきこもりの当事者・家族が作る「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(東京)が3月21日、都内で開催したシンポジウムでも、支援者から「中高年ひきこもり」の深刻な事例報告が相次いだ。

岩手県洋野町の保健師で、ひきこもり支援を担うNPO法人「エンパワメント輝き」理事長の大光テイ子さんが関わったのは、70代の高齢者夫婦と40代の無職の息子の家庭だ。家を訪ねてみると、「部屋には座る隙間がないほどごみが散乱し、屋根は雨漏りし、台所の床は家族が転ぶほど傾いていました」(大光さん)

父親は要介護状態の妻にも介護サービスを利用させず、自身も認知症を患っていた。「ひきこもりの息子にお金を残してやりたい」と、家の修理も介護サービスの利用も断っていたのだ。大光さんは、「息子さんも私たちが面倒見ますから」と父親を説得して介護サービスを利用してもらい、自宅を改修し、息子には精神科を受診させた。3年がかりで生活を立て直したという。

千葉県市川市で24時間、生活困窮者らの支援に当たる「生活サポートセンターそら」の主任相談支援員、朝比奈ミカ氏は、70代男性からの「住宅ローンを滞納し、自宅を差し押さえられた」という相談を紹介した。「男性が家を失った原因は、自立できずにいる子どもに1銭でも多く残そうと、投資に手を出したからでした」と説明する。

「39歳の壁」が支援につながらず

東京でひきこもりの相談支援に当たるNPO法人「楽の会リーラ」の市川乙允事務局長は、「多くの相談者から真っ先に『年齢制限はありますか』と聞かれる」と話した。

行政のひきこもり支援の窓口は、多くの場合青少年担当の部署だ。東京都など複数の自治体が、年齢を問わず支援するようにはなってきたが、まだ多くの自治体がひきこもり相談会などの対象年齢を「39歳まで」としている。

4月上旬、ある当事者の会に参加した40代女性は、会場で配られた就労支援プログラムのチラシを手にして「これも39歳まで!」と肩を落とした。

「相談があれば、年齢を問わず支援する」としている自治体もあるが、チラシやパンフレットに対象年齢が記されていたり、「青少年」センターが窓口だったりした場合、中高年の当事者は「SOS」を出すことをためらってしまう。やる気を振り絞っても支援につながれない。その落胆が、当事者の社会に出る気力を摘んでいく。

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最終更新:4/11(木) 18:35
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