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捕鯨って何が問題なの? 日本は世界の「目」とどう向きあうべきか。

4/11(木) 12:10配信

ハフポスト日本版

捕鯨は「食文化」として根付いている。

日本の捕鯨といえば「ザ・コーヴ」というアメリカのドキュメンタリー映画で描かれた和歌山・太地町のほか、宮城県石巻市の鮎川などが有名だが、北海道や九州など全国各地に捕鯨の伝統と食文化が根ざしている。

「日本人には、もともとクジラを食べてきた歴史があります。海洋国家であり、食料資源としてみてきた。ホタテも食べるしワカメも食べるし、クジラも食べる。大事なタンパク源として食べてきた文化が残っているのです」

近代化して、日本人は鶏や牛も食べるようになり、1982年にIWCが商業捕鯨の一時的全面停止(モラトリアム)を採決して以来は、クジラを食べる量は極端に減少した。しかし、最近は狂牛病や鳥インフル、豚コレラなど食に関する問題は尽きない。食糧問題として考えれば、鯨食文化はタンパク源のリスク分散という視点で考えることもできる、と佐々木さんは指摘する。

クジラは動物愛護運動における「カリスマ動物」。

一方、反捕鯨運動とは一体何なのか。

遡ってみれば、1970年代から環境保護運動や動物愛護運動が盛り上がりを見せる中で、ホッキョクグマやパンダと並び、クジラも絶滅危惧種のカリスマの一つになったという。

「クジラは一つのアイコンでしかありません。ほんの入り口で、活動家の中には牛や豚を食べることも禁止したいというコアな人たちもいます。彼らはベジタリアンで、中でもヴィーガンというチーズもミルクも卵も摂らない完全菜食主義者。水族館や動物園、毛皮にも利用してはいけない、動物を搾取してはならないというのが彼らの主張です」

すでに広く普及している牛や豚を食べる文化を否定することは難しいが、カリスマ動物であるクジラをターゲットにして保護をアピールすれば、団体にとって支持者やお金を集めやすい。そのため、クジラは擬人化され、スーパーホエールのようなイメージが作り上げられる。

捕鯨を批判している人の一部は動物全般の生きる権利を守ろうという、すなわち「動物の権利」運動を主導している。スペインなら反・闘牛、フランスなら反・フォアグラとなり、反捕鯨運動とつながっている。

アメリカの歴史は動物の権利運動とも密接に結びついている。アメリカでは、民主主義の発展にともなって、黒人の権利、女性の権利、マイノリティの権利、LGBTの権利といった流れで、社会的弱者の様々な権利を擁護してきた。

そして今たどり着いたのが動物の権利を擁護する運動だ。

「日本に住んでいるとなかなか“理解”するのが難しい動きだ」と佐々木さんは言う。しかし、その日本でも少しずつではあるが、確実に広がってきている。

「捕鯨の問題は21世紀の論争で、日本はその前夜の状況にいると著書に書きました。明治維新の時には黒船がやってきて、それによって文明開化や近代化が進んだ。私はシー・シェパードも黒船だと思っています。日本人よ目を覚ませ、これが世界の常識である、と彼らは過激な活動をやっているんです」

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最終更新:4/11(木) 12:10
ハフポスト日本版

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