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上野千鶴子さん「社会には、あからさまな性差別が横行している。東大もその一つ」(東大入学式の祝辞全文)

4/12(金) 16:24配信

ハフポスト日本版

4月12日、東京大学の2019年度入学式が日本武道館で行われた。

祝辞には、女性学のパイオニアである社会学者の上野千鶴子名誉教授が登壇。

2018年に発覚した東京医科大学の性別や年齢による差別的な不正得点調整について言及し、性差別について、がんばりが報われない社会、そして「知」とは何かについて新入生に語りかけた。

女子学生の置かれている現実と、研究者の女性比率

「ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました」

上野さんは、祝辞の冒頭、そう言って新入生を歓迎した。

続けて「その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう」と話し、2018年の東京医科大学の不正入試問題について触れた。

そして全国の医学部医学科でも、男子学生のほうが合格率が高いことや、東京大学でも入学者の女性比率は長きにわたって「2割の壁」を越えない現実を紹介。2019年度は18.1%と前年度を下回ったことも言及した。

一方で、他学部では理工系も文系も女子学生のほうが優位にあることや、女性受験生の偏差値が男性受験生よりも高いことも説明。

この現実に対し「この差は成績の差ではありません。『息子は大学まで、娘は短大まで』でよいと考える親の性差別の結果です」と指摘した。

「学部においておよそ20%の女子学生比率は、大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。これは国会議員の女性比率より低い数字です」と学生だけでなく研究職の女性割合も著しく低いことにも触れた。

そして「女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません」と述べた。

「かわいい」の価値とは何か。「東大」と言えない女子学生の心情

上野さんは、東京大学で学ぶ学生が過ごす環境についても語った。

「他大学との合コンで東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました」と切り出し、女子学生は「『キミ、どこの大学?』と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです」と話した。

続けて上野さんは「なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか」と新入生に問いかけた。

そして「なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです」と言い、「かわいい」という価値観について次のように語った。

「女子は子どものときから『かわいい』ことを期待されます。ところで『かわいい』とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです」

また、東京大学の女子学生が入れず、他大学の女子学生のみが加入できる東京大学の男子サークルが半世紀以上続いている現状についても説明。

そして次のように警鐘を鳴らした。

「大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながら例外ではありません」

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最終更新:4/12(金) 19:23
ハフポスト日本版

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