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昭和から続く「おむすび型」吊り手が、丸ノ内線新型車両で消えた理由

4/13(土) 5:05配信

ITmedia ビジネスオンライン

 東京メトロは2月23日から、丸ノ内線新型車両2000系を運行している。2023年度には6両の53編成全てが2000系となる予定だ。約30年にわたって運行してきた02系を見慣れているので、真っ赤で丸みを帯びた新型車両を目にして驚いたことのある人も多いのでは。

【画像】丸ノ内線新型車両の「リコ式風」吊り手

 東京メトロでは、1969年以降に製造した新造車から「おむすび型」の吊り手を採用しており、それが現在まで同社のスタンダードな仕様になっている。しかし、2000系にはおむすび型の吊り手がなく、丸い吊り手と「リコ式風」と呼ばれる涙型の吊り手が採用されている。

 おむすび型はなぜ消えたのだろうか。東京メトロの担当者に聞いてみた。

東京メトロにおける吊り手の歴史

 そもそも、リコ式とはどのようなものだろうか。東洋で最も古い地下鉄である東京地下鉄道1000形には、アメリカ製の「リコ式5号」と呼ばれる吊り手が使われていた。「リコ」とは、米国の吊り手メーカーの名前だ。

 この吊り手は、現在のように吊り下がったタイプではなかった。窓の方向に向かって、バネで跳ね上がる仕様になっており、乗客は吊り手をつかんで自分のほうに引き寄せる必要があった。このような仕様にしていたのは、車両内を広く見せるとともに、吊り手が左右に揺れて乗客の帽子やメガネに接触するのを防止する目的があったという。吊り手の形状は涙型だった。

 高度成長時代になって大量の乗客を輸送するようになると、リコ式のデメリットが目立つように。混雑時に吊り手を離すと、跳ね上がって他のお客の頭にぶつかってしまったり、摩耗したバネの修理に時間がかかったりといった問題が出てきた。そこで、電車の進行方向と同じ向きに吊り下げた「吊輪式」が1967年から導入された。

人間工学に基づいたおむすび型

 吊輪式が導入されたのとほぼ同時期、吊り手の形状にも変化が起きた。

 1965年ごろになると、首都圏の鉄道各社は乗客が握りやすい吊り手の開発を進めた。その中で生まれたのがおにぎり型の「TA型」だ。これは、東京メトロの前身である帝都高速度交通営団の「T」と、吊り手製造メーカー「アサヤマ」の「A」から名付けた。1969年から登場したこの吊り手は、人間工学の観点から握りやすさを追求した結果、おにぎり型になったという(参照記事:90年でこんな進化が!!地下鉄の「吊り手」の歴史)。

 吊り手の高さもこの時期にほぼ固まった。東京メトロの担当者によると、吊り手は肘を自然に曲げたときに乗客がつかまりやすい高さに設定している。当初、床面高さは1640ミリとしていたが、1965年以降に当時の日本人の男女平均身長を参考に1660ミリとした経緯がある。現在、この1660ミリというのが東京メトロにおける標準の高さとして統一されている。

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最終更新:4/13(土) 5:05
ITmedia ビジネスオンライン

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