ここから本文です

雄星に大谷に佐々木 なぜ岩手が“怪物”を3人も輩出できたのか

4/13(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 単なる偶然なのか、それとも必然なのか。

 先日、岩手・大船渡高校の佐々木朗希(3年)がU18高校代表合宿で高校生史上最速の163キロをマーク。新たな怪物誕生にメディアは大騒ぎした。佐々木が誕生した岩手は大谷翔平(エンゼルス)と菊池雄星(マリナーズ)の出身地。わずか10年で3人の“怪物”を輩出したことになる。

「岩手の人沈深牛の如し 両角の間に天球をいだいて立つ かの古代エジプトの石牛に似たり 地を往きて走らず企てて草卒ならず ついにその成すべきを成す」

 詩人の高村光太郎は著書「岩手の人」で、岩手県民をこう表現した。牛のように慌てず一歩一歩前に進み、事を成し遂げる気質をつづったのだ。

■県民性、食文化、部活動

 県民性研究の第一人者で、㈱ナンバーワン戦略研究所所長の矢野新一氏は「普段は物静かながら、何かの瞬間に大きな力を発揮する傾向がみられる」と、こう続ける。

「岩手の県民性を実証する企画をテレビでやったことがある。リンゴをたくさん入れた紙袋を持ち、信号待ちしているときに、わざと転んでリンゴをこぼす。すると、のんびり信号待ちしていた人たちが一斉に走って来て、散らばったリンゴを拾い始めたのが印象的でした。岩手では外国人観光客のために作ったおもてなし対策の『10手』が盛り上がっている。何かの目標に向かって一生懸命になり、力を発揮する。長い冬は家にこもるという生活から時代が変化し、県全体に活気が出てきている点も見逃せない」

 食生活にもヒントがありそうだ。

 2016年度の総務省家計調査によると、岩手はわかめ、こんぶの消費量が全国1位。魚介類もよく食べる。ほうれんそう、大根が1位で、にんじん、ごぼうも上位。果物消費もトップだ。さらに、東北に限れば豆腐の消費量も1位。かつては多くの家庭で豆腐作りをやっていた名残という。

 横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子氏(管理栄養士)がこう言う。

「岩手の人たちはオールマイティーの栄養素を食事から取り入れているのでしょう。海のもの山のもの、寒い地域のものなど、栄養バランスが優れていると思います。スポーツ選手の筋肉の発達において、魚介類、豆腐などに含まれるタンパク質と、魚介類などに含まれるビタミンB6、B12を合わせて取ることで、よりタンパク質の代謝が良くなる。ビタミンB6、B12は体に保存できないだけに、タンパク質と一緒に摂取できるのはプラスです。野菜や果物はビタミンや食物繊維、海藻類は食物繊維やヨウ素が多く含まれるため、新陳代謝が高まり、より多くのエネルギーを発揮する効果がある。さらにカルシウム、鉄分が骨や体の成長を促します」

 スポーツへの関心も高い。

 岩手は全国高体連加盟登録状況によると、体育系の部に登録する生徒の加入率(平成30年8月)が60.8%で全国1位。男子中学生100人あたりの軟式野球部員は全国2位。男子高校生100人あたりの硬式野球部員数は全国5位だ(17年度)。

 岩手県教育委員会事務局・保健体育課統括課長の清川義彦氏は「中高の部活動はもちろん、スポーツに取り組む子供、指導者が一生懸命取り組むという土壌ができつつあるのではないか」と分析。岩手県内の高校野球の監督は、「昔から根気強く、純朴で真面目な生徒が多い。寒い時季にも熱心に運動に取り組み、競技力を高め、体をつくっていく取り組みが積み重なった結果だと思う」と話す。

 さまざまな要素が重なった結果、ダイヤモンドの原石が誕生したようなのだ。

こんな記事も読まれています

スポーツナビ 野球情報

MLB 日本人選手出場試合4/24(水) 8:55

あなたにおすすめの記事