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兵馬俑の青銅製武器、保存状態の良さは古代技術でなく単なる偶然 研究

4/13(土) 10:05配信

The Telegraph

【記者:Sarah Knapton】
 中国・陝西省西安市にある始皇帝陵の近くに葬られていた兵馬俑。この兵士の像が携えていた青銅製の武器の保存状態が良かったのは偶然で、古代のさび止め技術によるものではなかったとする研究結果が、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表された。

 兵馬俑は等身大の兵士などをかたどった陶器製の像で、1974年に発見された。中国を統一した初代皇帝、始皇帝(紀元前259~210年)の墓の近くにある坑に、何千体もの像が配置されている。
 
 考古学者は当初、兵士の像が携えていた青銅製の武器はクロムでめっき加工されていると考えていた。腐食のないきれいな状態で発見された上に、クロムが近くで見つかったからだ。クロムめっきは1920年代に発明された技術だが、中国ではその2000年ほど前、すでにこの技術が知られていたのではないかとの説が提唱された。

 だが、英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)が新たに行なった分析より、クロムは武器の柄など木製部分に使われた装飾用のワニスに由来するものであることが分かった。

 調査の主執筆者のマルコス・マルティノン・トーレス教授(元UCL、現ケンブリッジ大学)は「始皇帝陵で見つかった兵士の像やその他の有機素材のほとんどには、顔料を塗る前に保護剤として漆が何層にも塗られていた。だが興味深いことに、青銅製の武器には塗られていなかった」と話す。

「青銅製の武器に残っていたクロムの痕跡は、木や竹でできたやりの柄や剣の握りなどの有機素材に直接結合していた部分で最も多く見つかった。現在は腐食してしまったこれら木や竹の部分には、同じく漆の保護剤が塗られていたであろう」「明らかに、青銅に付着していたクロムの出どころはこの漆であり、古代のさび止め処理だったというわけではない」

 兵士の像は実際に使用できる青銅製の武器を携えており、やり、鎌、剣、クロスボウの引き金部分や4万個もの矢尻が見つかっている。武器の中でも、木製の柄や矢筒、さやなどの有機素材は2000年の間にほとんど腐食してしまったが、青銅部分は驚くほど良好な状態で残っている。

 最初の発掘以来、青銅製武器が完璧な状態だったのは、秦の武器職人が金属の腐食を防止する独自の技術を持っていたからだと考えられてきた。

 だが現在は、周囲の土壌が適度にアルカリ性だったこと、粒子が小さかったこと、有機含有量が低かったことが保存状態の良さに寄与したと研究者らは見ている。

 UCL考古学研究所および秦始皇兵馬俑博物館のシュージェン・リー博士は「並外れた保存の良さは、青銅のスズ含有量の高さ、急冷技術、そしてこの土地独特の土壌の性質でいくらか説明がつく。それでも、秦朝が謎の技術工程を開発していた可能性もまだ残っており、さらなる調査を行う価値はある」と話している。 【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:4/13(土) 10:05
The Telegraph

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