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【特集】丘の上のマグロ養殖 挑み続けた研究者の9年

4/13(土) 11:01配信

KSB瀬戸内海放送

 人工の水「好適環境水」を使った魚の陸上養殖実験に取り組む岡山理科大学。さまざまな魚種に挑む中で、2010年に始めたのが「マグロ」です。
 開始から9年、数々の失敗を繰り返しながら、研究は少しずつ前に進んでいます。

マグロに挑み続ける研究者

 岡山市の小高い丘の上にある岡山理科大学・生命動物教育センター。
 たくさんの水槽が並ぶ施設の一番奥にマグロがいます。

 工学部の山本俊政准教授(60)は9年間マグロと向き合ってきました。

(岡山理科大学/山本俊政 准教授)
「見ました?こんなにでかい!もうこれ見たら、うれしくて仕方ない」

「好適環境水」で挑む陸上養殖

 山本准教授は、自ら開発した人工の水「好適環境水」を使った養殖実験を続けています。

 「好適環境水」は、真水に最低限のミネラルなどを溶かしたもので、海水魚も淡水魚も飼育可能です。好適環境水を使うことで、海がない場所でも海水魚の大規模養殖が可能になると期待されています。

夢への挑戦、そして苦悩の始まり

(岡山理科大学/山本俊政 准教授 [2010年])
「魚工場であり、魚の家畜化。そういった研究の中心に持っていきたいと思います」

 2010年3月、丘の上の研究施設は完成しました。
 直径8メートルのマグロ用水槽は、この施設の目玉。
 その年の7月、愛媛県沖で取れたマグロの稚魚が水槽に入り、いよいよ実験が始まりました。

(岡山理科大学/山本俊政 准教授 [2010年])
「ここから全てが始まります。丘育ちの森のマグロを生産したい」

 しかし、100匹以上いたマグロは半年も経たず、全滅しました。

 壁への激突などでついた小さな傷が、マグロにとっては致命傷でした。

「1ミリ先が見えない…」マグロと向き合う日々

 マグロと平行して、山本准教授はトラフグやヒラメ、ウナギなどの陸上養殖実験に取り組みました。これらは順調に進み、次々と市場に送り出していきました。

 一方、マグロは失敗の連続でした。

 水槽からの飛び出し、壁への激突、そして原因不明の死…2回目の実験以降も、マグロは死に続けました。
山本准教授は頭を抱えていました。

(岡山理科大学/山本俊政 准教授)
「最初のトラフグにしてもヒラメにしても、やってみないとわからない部分があったけど、何とかなるだろうという思いはずっと持っていた。だけど、マグロに関しては真っ暗闇。一寸先、1ミリ先が見えない…でも、だから思い入れがある、ずっとある、いまだにある。今だから言えるけど、3年持てばいいんじゃないかと思っていた。やっぱりやめようかと、サワラにしようかという話を私が出したことがありまして。そのときに、みんな反対しましたからね。『マグロ何でやらないんだ』と。みんなから背中を押されているんです」

 山本准教授は、学生やスタッフと一緒に対策を考えました。
 マグロが飛び出さないように水槽の上にカラスの模型を置いてみたり、激突しないようにエサのやり方を変えてみたり…その全てが手探りでした。

 それでも回数を重ねるごとに、少しずつマグロを大きくすることができるようになりました。

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最終更新:4/13(土) 11:01
KSB瀬戸内海放送

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