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「ドロップアウトではなく原点に帰った」 塩谷歩波さんが設計事務所を辞めて『銭湯図解』を出版するまで

4/13(土) 12:57配信

ハフポスト日本版

最近、銭湯にハマっている。巨大な湯船に浸かると、仕事でたまったストレスが汗とともに流れ落ちていくようだ。

そんなある日、自宅近くの東京・千駄木の往来堂書店で『銭湯図解』(中央公論新社)という本の出版を記念したトークイベントが開かれたので、覗いてみた。著者の塩谷歩波(えんや・ほなみ)さんは28歳。

建築家を目指して設計事務所に務めていたが、体を壊して休職中に銭湯の魅力にとりつかれ、銭湯の内部構造を立体的なイラストにして、SNSに投稿するようなった。

今は都内の銭湯の番台をしながら、イラストレーターを生業にしているという。

なんて面白そうな人生だろう。トークイベントの最後は、著書へのサイン会だった。すらすらとサインを書く塩谷さんに、思わず「あとでインタビューさせてください」と申し込んだ。(ハフポスト日本版・安藤健二)

建築家を目指して

3月21日、塩谷さんが番台を務める小杉湯を訪れた。JR中央線の高円寺駅から徒歩5分。商店街を抜けた先に、昭和8年創業の老舗銭湯があった。

塩谷さんが描いた小杉湯の図解イラストが壁に掲げられていた。入口で待っていた塩谷さんから「ようこそ、小杉湯へ」と声をかけられた。営業前の時間を利用して、待合室でインタビューをした。

もともと建築家を目指していた塩谷さん。それは母の影響だったという。

「私が中学生のころでした。母がインテリアコーディネーターの資格をとるために、自宅で課題として、さまざまな家のパース(立体的なイラスト)を描いていたんです。それを見て『格好いいな』と思って、描き方を教えてもらい、私も描くようになりました。『建物を描くのって楽しいな』と思うようになり、建築に興味をもったんです」

やがて早稲田大学の建築学科に入った。

建築学科の中で、設計は花形だった。建築物を絵に描くのが好きだった塩谷さんは、設計と絵を結びつけられる建築家を目指して大学院修了後、2015年4月に東京の設計事務所に入社した。

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最終更新:4/14(日) 2:34
ハフポスト日本版

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