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CS&Nが残した米国フォーク/ロック史に残る大傑作『Crosby, Stills & Nash』

4/14(日) 18:00配信

OKMusic

当時としては異例の600時間をかけた綿密なレコーディング

クロスビー、スティルス、ナッシュが出会ったのは、1968年の夏のことだと言われている。諸説あるが、まぁ一番ロマンチックなものを選ぶとすると、その年にローレル・キャニオンのジョニ・ミッチェルの家で開かれたパーティーでの出会いが発端とされている。その時、すでにジョニとクロスビーは恋人同士だった。パーティー客の中にはママス&パパスの女性シンガー、キャス・エリオット、それにエリック・クラプトンやデイヴ・メイスンもいたという話がある。とにかく、3人はすでに顔見知りだったというが、そのパーティー中、なんとなく始まったジャムでクロスビーとスティルスが「You Don't Have To Cry」(本盤にも収録)を演奏し始めたところにナッシュがハーモニーを付けると、周囲にいたものが卒倒せんばかりになり、その素晴らしさを絶賛したのだ。

もちろん、やっている本人たちも奇跡が起こったことは認識しており、その瞬間にバンドを結成することを思い立ったという。その段階ではクロスビーとスティルスはそれぞれ、バーズから脱退、バッファロー・スプリングフィールドはすでに解散というフリーな立場。ナッシュはまだザ・ホリーズにギリギリ在籍中だったものの、自分の書いた曲がことごとくアルバムには採用されないという不満を抱えており、そろそろ脱退を考えていたところだった。

情報の伝わらない日本では考えられなかったろうが、大物3人が組むという情報はたちまち業界内に伝わり、レコーディング契約がいくつも持ちかけられる。中にはジョージ・ハリスンの勧めもあって、アップル・レコードからリリースという話もあったらしい。CS&N側も乗り気だったのだが、タイミング悪くアップルはビートルズの内紛でゴタついており断念(実現していれば、アップルはCS&N、ジェームス・テイラーを抱えることになっていたわけだ)。結局、彼らにとっては最良とも言うべき、アーメット・アーティガン総帥の率いるアトランティック・レコードと契約する。

アトランティックはレイ・チャールズやアレサ・フランクリンをはじめとしたソウル系に強いレーベルだったが、60年代末からレッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズ、イエスをはじめとしたロック勢にも目を付けるようになっていた。好条件の契約に加え、豊富な資金面のバックアップもあり、CS&Nは当時としては異例の600時間をかけて綿密なレコーディングを行ない、完成したのが本作『Crosby, Stills & Nash』だった。アルバムからは「Suite:Judy Blue Eyes(邦題:青い目のジュディ)」と「Marrakesh Express(邦題:)マラケシュ行急行」のシングルヒットが生まれ、アルバムはいきなり全米チャート6位を獲得する。そして、CS&Nはその年のグラミー賞の新人賞まで獲得している。

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最終更新:4/14(日) 18:00
OKMusic

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