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「福岡の川にマンボウが…」ツイッターで話題、あの個体のいま 川を遡上した理由は? 解剖調査を取材

4/17(水) 7:00配信

withnews

 「川にマンボウがいる……」。2018年の年末、福岡県福岡市で発信されたそんな情報がネット上を駆け巡りました。テレビやネットニュースでも報じられたため、記憶に残っている方も多いかもしれません。驚きの状況に、ボーカロイド・初音ミクの曲にちなんで「まさに”家の裏でマンボウが死んでる”」と話題に。その個体はいま、福岡県北九州市にある「北九州市立いのちのたび博物館」に保管されています。”マンボウ”は一体、どうして川を遡ってしまったのでしょうか。記者が調査に同行、独占取材となった現場を報告します。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)

【写真】川で発見された「ヤリマンボウ」現在のようす 移動は大人3人がかり、その大きさとは…

川で”マンボウ”発見の経緯

 福岡市の樋井川で”マンボウ”が最初に目撃されたのは、クリスマスを前にした2018年12月22日。川を遡上する姿がテレビなどでも取り上げられ話題となりましたが、25日の時点で死亡していることが報じられました。

 しかし息を引き取った後も”マンボウ”は潮の満ち引きで川を漂い、目撃情報が続きます。27日には、「通勤途中の川にマンボウがうちあがってて思わずガン見してしまった」と、ツイッターアカウント・石鹸@趣味垢用さんが写真つきで投稿。「マンボウくんなにしてるの」「状況がわけがわからない」と注目され、ツイートは3万回以上リツイートされました。

 その後、このツイートに反応した人たちによって”マンボウ”は28日に回収されました。そして現在、北九州市のいのちのたび博物館に保管されています。

実は「ヤリマンボウ」、しかも2014年にも…

 なぜ”マンボウ”という表記にしているかというと、この個体、実は「ヤリマンボウ(ヤリマンボウ属)」という種類の魚。なじみのない名前かもしれませんが、水族館などで見かける「マンボウ(マンボウ属)」とは、属が異なる別の魚なのです。

 「ヤリマンボウ」は、見た目が「マンボウ」とよく似ているため、混同されることが多いそうです。大きな違いは、通常の魚の「尾びれ」の位置にある「舵びれ」と呼ばれる部位の形。「マンボウ」の「舵びれ」は波打ったような形をしていますが、「ヤリマンボウ」は「やり」のような突出部があるのが特徴です。

 しかもこの「ヤリマンボウ」、以前にも川を遡上した事例があります。2014年11月、長崎県の江迎川でのことでした。近隣の住民が、川に「ヤリマンボウ」を発見。その後、ひどく衰弱しており息絶え、西海国立公園九十九島水族館に運ばれています。この事例は2018年に論文となり、withnewsでも記事を配信しました。

 論文の執筆者で、マンボウを解説する一般書「マンボウのひみつ」の著者でもある澤井悦郎さんは、長崎で発見された「ヤリマンボウ」が川を遡上した理由を、「単に『迷入』した可能性が高い」と結論づけました。つまり、シンプルに迷い込んでしまったというのです。

 なんと不運なこと……私は当時この結論を聞いて、体の力が抜けたのを覚えています。では今回、福岡・樋井川のヤリマンボウは……? 年末のニュースを見て、ずっと心にひっかかっていました。

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最終更新:4/17(水) 9:27
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