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熊本地震3年 年内再開率「100%」でも…被災農地、復興半ば

4/15(月) 15:06配信

熊本日日新聞

 熊本県内の農地に甚大な被害をもたらした熊本地震から丸3年。被災を契機に農地の大区画化を実現した地域がある一方、農業用水が届かないため田植えを4年連続で見送らざるを得ない農家もいる。県が公表している営農再開率は年内に100%を達成する見込みだが、農地・農業用施設整備は遅れており、復旧復興は道半ばだ。

 県が「創造的復興」を掲げて農地の大区画化を推進する3地区の一つ、熊本市の秋津地区。同市東区と益城町にまたがる172ヘクタールの農地では、青々とした小麦が風にそよいでいた。「辛い地震だったが、被災をばねに区画を広げることができた」。同区桜木の農家上田浩文さん(43)は笑顔を見せた。

 同地区では、地震のため広範囲に地盤沈下やうねりが発生した。復旧を進める県は、農地の所有者ら約250人の同意を得て、所有者ごとに農地を区切っていたコンクリートの仕切りを撤去。一区画当たりの面積を広げ、効率的に耕作できるようにした。

 上田さんは地震直後から、地元農家の若手リーダーとして地域の営農継続に奔走。使える農地を利用して地元の営農組合の仲間と麦や大豆を栽培し、作付けが途切れないよう努めてきた。「おいしい作物を届け、復興が進んでいることを伝えたい」

 県によると、被災農家約1万5500戸の営農再開率は3月末で99・7%。年内には100%達成を目指す。ただ、この数字は復旧工事が終わり、中に入れるようになった段階の農地を含み、作付けが再開できたところばかりではない。

 さらに、被害の大きかった地域の一つ、南阿蘇村では、いまだに農業用水が届かない地域が複数ある。

 同村立野地区の農家中村守行さん(84)もひたすら水を待つ一人だ。長年、手塩にかけたコメを名古屋や関東の顧客に届けてきたが、地震で送水管が破損し、2016年から3年続けて田植えができなかった。心配する顧客には「もう少し待ってほしい」と伝えている。

 送水管の幹線は今年3月末までに復旧したが、村は支線など農地までの被害状況を把握しておらず、村農政課は「通水してみないと実際に水が届くかどうか分からない。申し訳ないが、今年も田植えできない地区は残る」と話す。

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最終更新:4/15(月) 15:06
熊本日日新聞

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