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ミリ波レーダーに「60年に1度のパラダイムシフト」、高周波アンテナで新構造

4/15(月) 6:25配信

MONOist

 日本電産は2019年4月12日、滋賀技術開発センター(滋賀県愛知郡)で説明会を開き、次世代高周波アンテナ技術について発表した。

 プリント基板を用いる従来のパッチアンテナとは異なり、金型成形で製造した金属製の導波路を重ねて3次元で配置する。これにより導波路損失やアンテナ効率をパッチアンテナの性能から改善するとともに、性能安定性を高めることができるという。視野角と分解能も向上する。空間を3次元で検出することも可能になるとしている。

 この技術を応用し、1台で77GHz帯と79GHz帯が利用可能で超近距離から中距離までをカバーする車載用ミリ波レーダー「デュアルモードショートレンジレーダー」を開発。また、カメラとミリ波レーダーを一体化しフロントガラスに設置可能なセンサーユニット「インテグレーテッドセンサーフュージョン」も投入する。いずれの製品も自動車メーカー向けに提案中で、2020~2021年に量産を開始する。

パラダイムシフトを起こすアンテナ技術

 今回発表した次世代高周波アンテナ技術について、日本電産 執行役員で先進システム研究開発センター長の三重野敏幸氏は「従来のパッチアンテナの性能をしのぐ。60年に1度のパラダイムシフトだ」と語る。従来のパッチアンテナを用いるミリ波レーダーとの違いは、垂直方向と水平方向の解像度の高さと、同じ距離にある複数の対象物を分離して検出する能力だ。

 従来のミリ波レーダーは、同じ距離に車両と標識があった場合、この2つを分離して判別することができないという。そのため、垂直方向の視野角を狭めて車両のみを検出するように調整している。一方、新開発のアンテナを用いたミリ波レーダーは標識と車両を分離して検知することが可能で、相対速度から物体が動いているのか止まっているのかについても判別する。これは新開発のアンテナの導波路損失が少なく、3次元に導波路を配線できることから実現可能となる。

 解像度は、従来のミリ波レーダーが水平方向に4度なのに対し、新技術では水平方向で1.2度、垂直方向で1.2度を達成するという。分離性能(2つの異なる対象物を分離して検出できる最小距離)は、従来のミリ波レーダーが50cm、新技術では10cmだとしている。

 この新開発のアンテナを用いたミリ波レーダーは、金型で成形した金属の細かな突起を持つ基底部と、天板の間に伝搬領域と伝搬遮断領域を形成する。突起を成形した金属板を重ねることにより、導波路を3次元に配置できる。温度変化や振動など車載用としての耐久性も満たすとしており、「樹脂(を用いるパッチアンテナ)よりも信頼性は高い」(三重野氏)。伝搬遮断領域を設けることによって電磁波が漏れないため、ケースでの密閉は不要となる。

 製造容易性も従来のパッチアンテナと同等だとしている。量産に必要な加工精度は0.1mm程度だとするが、金型の加工や材料の選定、アンテナ技術まで全て自社でカバーできる点が他社にない強みになるという。日本電産は、この新開発のアンテナのみの供給にも対応する。また、5G用基地局向けアンテナなど他の用途にも新開発のアンテナの基本設計を展開する。

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最終更新:4/15(月) 10:51
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