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戦略的思考で、アートとビジネスの接続に挑むーーRELISH 井澤 卓

4/15(月) 13:12配信

SENSORS

アートをビジネスとして成立させるには?「オフィスイノベーション」に着目した、優れたビジネス感覚

空間創造が価値になるーーそう感じた井澤氏は、RELISHのメインターゲットとして、オフィスイノベーションに挑む企業を置いている。働き方改革が進む中、1日8時間以上を過ごすオフィスの在り方が見直されていることに注目したのだ。

井澤:オフィスの壁に、企業の掲げるビジョンやフィロソフィーをアートワークとして具現化することで、それを空間に浸透させることができると考えています。またオフィス作りに割かれる予算は、他のアートに比べて大きい傾向にある。結果として制作単価が上げられるため、アーティストとして壁画製作を事業として成り立たせられるんです。


RELISHで手がける壁画制作の多くは、井澤氏が自ら企業担当者と話し、獲得しているものだ。RELISHは「下請け業者」としてではなく、企業と対等な立場に立ち、作品を提供している。その成功要因は「価値の言語化」と「戦略的思考」だと井澤氏は言う。

井澤:作品の価値や、提案するデザインの背景を明確に言語化することが重要だと考えています。言葉で価値を説明すれば、作品に対するリスペクトや、デザインへの理解も得られますから。


さらに、その価値を「どこに提供するか」も重要です。そのために必要なのは、世の中の動きに目を向けて、社会的ニーズを見出すこと。そこに対して明確な価値を提供することができれば、ビジネスを作ることができるんです。何も考えずに好きなものを作って、勝手に売れていくことはほとんどない。そうした戦略的思考を持って制作をしていかないと、アート制作を事業にすることは難しいと思います。


新時代におけるオフィス空間の価値に目を向け、レタリング壁画で企業の課題解決を行うことを見出した井澤氏。その戦略的思考は、独立以前に在籍していたGoogleの新規営業チームで磨かれたものだと、井澤氏は言う。

井澤:提案先に初めて会う際に、自分たちが提供する価値を可能な限り高めるため、相手先企業の競合状況もリサーチした上で「御社は今、こんな課題を抱えていますよね」と仮説をぶつけていました。仮説が間違っていてもいいんです。大事なのは、自分なりの意見を持ってお客さんと対峙すること。まずは自分の仮説をぶつけて、本当の課題を引き出すイメージです。そのために、業界分析や仮説構築を徹底的に追求していたので、Googleにいた3年間で、ビジネスマンとしてのスキルが非常に磨かれたと思います。


実は井澤氏は、Google在籍当時にRELISHの前身とも言えるチョークアートユニット「Paint & Supply」としての活動も始めている。Googleでの学びを活かし、企業や商業施設での大型案件を請負い、収益を上げてきた。

優秀なビジネスパーソンでありながらも、自ら現場に立つアーティストとしての経験を持っているのだ。だからこそ、アーティストへのリスペクトを払い、彼らのサポートがしていきたいのだと井澤氏は言う。

井澤:実はRELISHは、アーティストである小泉さんとの出会いがきっかけで設立したものです。彼は高いセンスを持っているのに、作品制作だけで食べていくことが難しいと話していて。僕は自分の持つビジネススキルを活かして、彼のようなアーティストのサポートをしていきたいと思ったんです。アーティストが、本当にやりたいことで食べていけるようにするのが、自分の役割だと考えています。

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最終更新:4/15(月) 13:12
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