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久保建英の相次ぐバルセロナ移籍報道を否定したFC東京社長の本音は何か?

4/15(月) 5:00配信

THE PAGE

 珍しい光景だった。通常は戦いを終えた選手たちだけが通過し、メディアの取材を受けるミックスゾーンに、FC東京の大金直樹・代表取締役社長(52)が姿を現したからだ。
 ホームの味の素スタジアムで、鹿島アントラーズに3-1で快勝した14日の明治安田生命J1リーグ第7節後のひとコマ。主力に成長したMF久保建英(17)が、今夏にFCバルセロナへ移籍することが内定したというスペイン発の報道を、大金社長は急きょ対応の場を設けた上で否定した。

「クラブとして事実無根とお答えします。たとえばバルセロナと何か契約行為があったとか、交渉も現時点ではありません」

 発信源はバルセロナに拠点を置くスポーツ紙で、1906年の創刊とスペイン最古の歴史をもつ『ムンド・デポルティーボ』。現地時間13日付の紙面で、かつてバルセロナの下部組織に所属していた久保が6月4日に18歳となり、海外移籍が可能となる状況を受けて復帰を決めたと報じた。

 久保は10歳だった2011年夏に、バルセロナの下部組織の入団テストに合格。年齢別に分けられたチームを順調に昇格していった矢先の2014年春に、18歳未満の国際間移籍を原則禁止とする国際サッカー連盟の規約に、トップチームが抵触していたことが発覚する。

 自分自身がまったくあずかり知らない問題ながら、久保は公式戦に出場できない制裁処分の対象の一人になった。1年が経過しても状況が変わらなかったため、断腸の思いで2015年春に退団したが、FC東京の下部組織に加入してからも年に一度は古巣を訪問するなど親交を温めてきた。

 帰国後のこうした動きを「バルセロナに戻るため」と解説した『ムンド・デポルティーボ』は、復帰後はラ・リーガ3部のバルセロナBに所属してトップチーム昇格を目指すことや、レアル・マドリードやパリ・サンジェルマンも久保に興味を示していると報じている。

 マドリードに拠点を置くスポーツ紙で、約270万部と国内最多の発行部数を誇る『マルカ』も、レアル・マドリードが久保の代理人に現状を確認する連絡を入れたと、対抗するような記事を掲載した。一気にかまびすしさを増した状況に、大金社長も苦笑いを浮かべるしかなかった。
「代理人が誰なのか私も知らないというか、私やクラブの理解では、代理人はいない、となっているので。本人も『いまは(FC東京で)試合にも出ていて、非常に充実している』と言っていますし、今後のことについても特に話していません」

 もっとも、非凡な能力をいよいよ発揮し、輝きを放ちつつある今シーズンの久保を象徴する変化も生じている。たとえば日本人の代理人を介して、海外クラブから久保の契約状況を確認する問い合わせが入ったときには、大金社長は「お答えする必要はありません」と丁重に断りを入れているという。

 正式なオファーは届いていないものの、久保が興味を抱かれているからか、同社長は「いままでにない海外のクラブが、スカウティングに来ることはあります」と舞台裏を明かす。それでもスペイン発の今回の報道に関しては、久保自身も「何なんですかね」と首をひねっていたという。

 FC東京の前身、東京ガスサッカー部でプレーした経験をもつ大金社長は、横浜F・マリノスへ期限付き移籍した昨年8月以降の約5ヵ月の間に久保が特にメンタル面で急成長を遂げたと指摘する。復帰へ向けた交渉の席で、いい意味で衝撃を受けたと明かしてくれたこともある。

「久保は自信満々に『僕は間違いなくやれます』と言ったんです。選手には期限付き移籍という旅を介してしっかり成長するタイプと、旅先の居心地がいいと感じてしまうタイプがある。久保の場合は自分自身を客観的な視点で見られるので、どこへ行っても間違いなく成長できる、と考えていました。期限付き移籍したときは思い通りにいかず、久保自身がフラストレーションを溜めていて、メンタル的にもすごく不安定でした。ウチでプレーすることがストレスになっていた部分もあったので、ならば環境を変えて、自分を高めてからまた戻って来いと、クラブとしては前向きにとらえました」

 可愛い子には旅をさせよ、という父親のような心境も抱いていたのだろう。成長という旅の手土産を今シーズンのFC東京へ還元しながら、精かんな顔つきとともに大人への階段を駆けあがっている久保の一挙手一投足を見ながら、大金社長はこんな言葉を残したこともあった。
「駆けあがり過ぎちゃって、どこかに行っちゃうのかな、という気持ちもあらんでもないかな、と」
 どこかとは、もちろん海外を意味する。

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最終更新:4/15(月) 5:00
THE PAGE

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