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【舛添要一の僭越ですが】自動車業界はどうなる・・ゴーン4度目の逮捕の裏で進んでいるもの

4/15(月) 13:44配信

ニュースソクラ

日産・ルノーはCASEの課題に応えられるか

 4月4日、東京地検は、日産自動車の前会長ゴーン被告の逮捕に踏み切った。4度目の逮捕であるが、いったん保釈した被告を再逮捕するのは極めて異例である。容疑は、オマーンの販売代理店に支出した日産の資金を私的に流用した特別背任罪である。3月6日に保釈されて1ヶ月も経たないのに、またこの展開である。

 ゴーン被告は無罪を主張し、弘中弁護士はこの逮捕を暴挙だと批判している。マスコミは、東京地検の「大本営発表」を中心に、このオマーン案件について連日報道を繰り広げている。

 しかし、その裏では、世界の自動車業界の熾烈な競争が展開されていることを忘れてはならない。ゴーン逮捕の前日の4月3日に、トヨタ自動車が重要な決定を行っている。それは、ハイブリッド車(HV)など電動車の関連技術特許2万3740件を無償で開放するということである。

 HVはトヨタの独壇場と言ってもよく、その高度な技術に他社は追随できず、電気自動車(EV)の開発に力を入れてきた。現在の技術では、走行距離の点でHVはEVに優るが、多くの企業が参画していることで、EVのほうが世界市場を席巻する見通しである。日本の携帯電話が優れた機能を追求するあまり、ガラパゴス化したのに似ている。

 これに危機感を抱いたトヨタは、虎の子のHVの特許を他社に開放することによって、HVの市場を拡大する戦略に出たのである。2017年9月に、中国は2019年からエコカーの製造・販売を義務づけることを決めたが、そのエコカーからHVを除外している。中国もEV中心のエコカー開発に乗り出している。

 その背景には、パリ協定に代表される地球温暖化対策がある。中国では、ここ数年、PM2.5 などの大気汚染が問題になっており、その対策としてもエコカーが位置づけられている。

 環境問題への配慮はヨーロッパも同様である。2月にスウェーデンでの16歳の少女が地球温暖化防止のための行動に立ち上がるように呼びかけたが、これには、まずヨーロッパの若者が呼応した。そして、3月15日には120ヵ国以上で、若者たちが温暖化対策を訴えるデモを行っている。アメリカでは、パリ協定から離脱したトランプ大統領への批判が目立った。

 環境問題にどう対応するか問題をはじめ、自動車業界はCASE、つまり、Connected(つながる車)、Autonomous(自動運転)、Shared(配車サービスなど)、Electric(電気自動車)という大きな変革の波にさらわれているが、これに対応するには一社だけでは無理で、数社による連合体が不可欠となる。

 2018年の自動車(新車)販売台数では、フォルクスワーゲングループが1083万4000台で1位、ルノー・日産・三菱自グループが1075万6875台で2位、トヨタグループが1059万4000台で3位である。この3社の熾烈なトップ争いが続いているが、日産・ルノーグループは2016年の三菱自動車を傘下に収めて以降、販売台数が急増し、2017年には世界のトップに躍り出ている。

 これはゴーンの拡大戦略が成功したものであるが、同時にゴーンの不正経理が明るみに出てきた。2018年春頃である。そして、11月には東京地検に逮捕されている。ルノーとの統合を嫌う日産幹部のクーデターだと言われている。

 現在では、ルノー・日産・三菱自の3社連合は、すでにゴーン抜きで動いている。EVの開発では、トヨタよりも一歩先を行っている日産とルノーは提携関係を解除するわけにはいかないし、それは日産も同様である。ゴーンが去った後に、統合にまで進むのか、逆に日産が独立志向を強めるのか、まだ不明である。 

 実質的にフランス政府がオーナーのルノーは、まず日産を統合し、その勢いでフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)を統合したいのである。しかし、日産がその方向で動く保証はない。

 4月8日に、日産は臨時株主総会を開き、ゴーンを取締役から解任し、ルノーのジャン・ドミニク・スナール会長を取締役に迎える予定である。ルノーもまた、6月の株主総会でゴーンの取締役解任を決める予定である。

 しかし、その後、経営統合を含めてどのような展開になるのか、ルノーと日産の本当の勝負はこれからである。

舛添 要一 (国際政治学者)

最終更新:4/15(月) 13:44
ニュースソクラ

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